【国内バスケ】折茂武彦、46歳。「北海道だから現役でがんばれる」 (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

「ある程度の違いは覚悟していましたが、これほどまでとは......」

 トヨタ時代は自前の体育館に、ウェイトトレーニングの施設も併設されていた。支給されるのが当たり前だと思っていた練習着は、自前で用意しなければならなくなった。海外で行なっていた合宿は、北海道内の稚内(わっかない)に。大男たちがひしめき合うバスに乗り込み、6~7時間かけての移動。折茂は、そんな長時間のバス乗車は人生で初めてだった。だが、不思議と後悔はなかった。

「これが、プロチームの現状なんだ」

 そして、北海道の生活は、新鮮で幸福な驚きにも満ちあふれていた。道行く人たちに何度となく、「北海道に来てくれてありがとう!」「がんばってください!」と声をかけられる。それは、トヨタ時代を過ごした東京では経験したことのないことだった。

「若い人やバスケット関係者だけじゃない。おじちゃん、おばちゃんにも声をかけられたんです。北海道のメディアが、野球、サッカーと同じようにバスケットを扱ってくれたことも大きいと思います。北海道は、地元のチームをものすごく応援してくれる土地だった」

 そして迎えた2007-08シーズン開幕戦。ホームコートである「月寒(つきさむ)グリーンドーム」で、折茂は生涯忘れることのできない光景に出会う。

 その光景こそが、折茂武彦が今なお現役を続ける理由であり、モチベーションだ。

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