【国内バスケ】折茂武彦、46歳。「北海道だから現役でがんばれる」 (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

「同期はとっくに引退している。この辺が引き際なのか......」

 そんな折茂に、トヨタ自動車のアシスタントコーチ(AC)や日本代表のACを務め、折茂のプレーをよく知る、同い年の東野智弥からラブコールが届く。東野は新設されたプロ球団・レラカムイ北海道のHCに就任し、新チームの中心選手として折茂を勧誘した。

 14年間在籍したリーグでもトップクラスの資金力を持つトヨタ自動車から、新設プロチームへの移籍。周囲のほぼ全員の反対を押し切る形で、折茂は北海道に飛んだ。なぜ、その目には、レラカムイがそれほど魅力的に映ったのか? 答えは明快だった。レラカムイが"プロ"チームだったからだ。

「大学を卒業し、僕のキャリアはトヨタの社員として始まった。バスケットだけに専念できる環境がほしくて、退職届を出して社員は2年で辞めたんです。その後、新しく制度を作ってもらい契約選手になった。ただ、厳密にはプロじゃない。プロ選手が、プロチームがどんなものなのか知りたかった」

 折茂はレラカムイと2年契約を結び、契約期間終了後、現役を退く未来予想図を描いた。

 予想はしていた――。ただ、北海道でのプロ生活は、予想を上回る驚きの連続で始まる。用意された練習場は、校庭に雑草が生い茂る、電気も水道も通っていない廃校となった高校の体育館。

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