NBA今季の珍事。なぜスリーポイントがこんなにも入るのか (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by AFLO

 ところが後日、インタビューを受けたムトンボは、「(ジェスチャーを)許可した覚えはない」と暴露。だが、ムトンボは優しかった。「ビヨンボは年の離れた弟のような存在。許可を取る必要はない。好きなだけマネていい」と続けた。どうやら来季も、ビヨンボの指振りを見ることができそうだ。

(3)コービー最後は60得点で幕引き。「再建」に踏み出した名門レイカーズ

 またひとり、スーパースターがコートを去った。37歳となったコービー・ブライアントが、レギュラーシーズン最終戦の4月13日、ユタ・ジャズ戦を最後にユニフォームを脱いだ。

 1996年、ロサンゼルス・レイカーズにドラフト 1巡目 13位で指名されたコービーは、以後レイカーズ一筋で20年間プレー。NBA歴代3位となる通算3万3643得点を記録し、NBAファイナルも5度制覇している。そんなコービーが、キャリア最後の試合で60得点という強烈な置き土産を残し、現役生活を終えた。

 ただ、レイカーズ経営陣はコービーの引退を悲しむ一方で、心のなかではガッツポーズをしているのかもしれない。なぜならば、今季のレイカーズは17勝 65敗でウェスタン最下位に沈み、3年連続でプレーオフを逃しているからだ。

 その要因のひとつは、2500万ドル(約25億6000万円)というコービーの高額な年俸である。それが足かせとなって補強がままならず、かといって英雄フランチャイルズビルダーの放出など地元ファンが許すはずもなく、まったく身動きが取れなかった。

 コービーがコートから去ることで、来季はついに名門レイカーズの「再建」がスタートする。手始めにチームは、ルーク・ウォルトンを新ヘッドコーチ(HC)に迎えた。ウォルトンは現役時代にレイカーズで9年間プレーし、2009年と2010年にはリーグ2連覇に貢献。まだ36歳ながら、メンフィス大やNBADL(※)でのコーチ経験を経て、その後はウォリアーズでアシスタントコーチを務めた。今季はスティーブ・カーHCの療養中に暫定HCとして指揮をふるい、39勝4敗という結果を残している。

※NBADL=将来のNBA選手を育成する目的で作られたNBA後援の通称「Dリーグ」。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る