涙のレブロン。前を向くカリー。NBAファイナル、新たな物語の始まり (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by Getty Images

 クリーブランドに会場を移した第3戦はキャブスが意地を見せ、120対90の30点差でシリーズ初勝利を挙げる。しかし喜びも束の間、第4戦はカリーのスリーポイント7本を含む38得点の活躍でウォリアーズが勝利し、シリーズ通算3勝1敗。早々とリーグ連覇に王手をかけた。

 ただし、もちろん結果論であるが、この第4戦がシリーズの行方をキャブス側へと大きく傾けることになる。

 第4クォーター終盤、レブロンとドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ/PF)がもつれてフロアに倒れ込む。起き上がったレブロンがグリーンの上をまたぎ、それに腹を立てたグリーンがレブロンの太ももを叩いた。試合後、リーグが一連のやりとりを調査した結果、グリーンに対して1試合の出場停止処分が下されることとなる。

 この処分に対し、「1試合でもファイナルを長引かせたいというリーグの意思が介在したのでは?」というファンの心情を代弁したのが、往年のスーパースター、レジー・ミラーだった。「もしシリーズが2勝2敗のイーブンだったら、グリーンは出場停止にならなかっただろう。俺の右腕を賭けてもいい」。
 
 そして第5戦、今季のオールディフェンシブ1stチームに選出されているグリーンの不在は、想像以上に大きな穴となった。敵地にもかかわらず、レブロンとアービングは次々とショットを決め、それぞれ41得点をマーク。112対97でキャブスが快勝し、対戦成績を2勝3敗とした。

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