涙のレブロン。前を向くカリー。NBAファイナル、新たな物語の始まり (2ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by Getty Images

 残る53秒をしのぎ切り、試合終了のブザーが鳴る。その瞬間、クリーブランド・キャブスはNBAファイナル史上初の1勝3敗から逆転優勝を達成したチームとなった。

 マイアミ・ヒート時代にファイナルを制した2度の瞬間は、満面の笑みだった"キング"レブロン・ジェームズ(キャブス/SF)。そんなレブロンが、キャブス初優勝の瞬間はコートにしゃがみ込み、手でその顔を覆った。それでも溢れてくる涙が、キャブスでの優勝をどれほど渇望していたか、そしてそれを成し遂げるための死闘がいかにタフだったかを物語る。

 昨シーズンと同カードとなった今年のNBAファイナル――。「ビッグ3」のアービングとケビン・ラブ(PF)を欠いて敗れたキャブスから見れば、どちらが"真の王者"かを決める一戦だ。一方、レギュラーシーズン史上最多の73勝をマークし、さらにレベルアップしたゴールデンステート・ウォリアーズからしても、"健康体"のキャブスを返り討ちにすることで、真の王者であることを証明する絶好の舞台である。

 しかし、シリーズが開幕すると、激戦を望む周囲の期待をよそに、第1戦を15点差、第2戦を33点差という圧勝で、あっさりとウォリアーズが2連勝を挙げる。しかも、キャブスは第2戦でラブが脳震とうを起こして第3戦の欠場を余儀なくされ、昨年の嫌な記憶が呼び起こされることに。

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