【NBA】バークレーも「ヤツは本物」。
長髪、口ヒゲ、異色の22歳とは?

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 スリーポイントシュート全盛の今、リーグ全体でビッグマンの出番は減り、役割も限られてきている。そんななか、相手チームが機動性を生かしたプレーを前面に出してきても対応できるアダムスのようなビッグマンは、貴重な存在なのだ。

 また、アダムスの存在価値は、オフコートでも発揮されている。いい意味で"自由人"な彼は、得点や出場時間、役割の大小といった価値観にとらわれていない。その考え方は、周囲にも好影響を与えている。特に影響を受けたのが、同じポジションで年齢も近い、トルコ人選手のエネス・カンターだ。

 以前所属していたユタ・ジャズでは、ルディ・ゴベールの加入でプレータイムが減ったことを不満とし、トレードを要求した。だがサンダーでは、今シーズンに入って出場時間が大きく減っても不満を言うことはなく、「優勝を目指すためには、犠牲も必要だとわかった」(カンター)と言うようになった。このふたり、コートを離れても仲が良く、カンターもアダムスに説得されて口ヒゲをはやすようになり、ふたりで「スタッシュ・ブラザーズ(口ヒゲ兄弟)」を名乗っていて、ファンの間でも大人気だ。

 アダムス成長の効果は、もうひとつある。4年前にジェームス・ハーデンをトレードで出したことに対する批判が聞かれなくなったことだ。というのも、アダムスを指名したドラフト指名権(2013年全体12位)は、サンダーがハーデンをトレードで出したときに獲得した指名権なのだ。同時に獲得したケビン・マーティン(現サンアントニオ・スパーズ)とジェレミー・ラム(現シャーロット・ホーネッツ)はすでにサンダーを離れたが、この先アダムスがチームの一角を担うようになれば、ハーデンがいたときよりもバランスのいいチームが作れる。

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