【NBA】カーメロ・アンソニーの焦り。「どこで間違ってしまったのか」 (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 シーズン半ば、「レブロンやウェイドら、親しい選手たちの成功を妬(ねた)ましく思うことがあるか」と聞かれたとき、アンソニーはこう答えた。

「"妬み"は、言い表すのに適当な言葉ではない。それでも、彼ら同期を見て、『どこで間違ってしまったのだろうか? 僕も、彼らと同じ位置にいるはずだったのに......』と思うことはある。かつて、僕が10年連続でプレーオフに出ていたときには、彼らのほうが僕をそういう目で見ていたのに。今は、僕にとって厳しい時期だ。なんとか、ここから抜け出すことを考えようとしている」

「ここから抜け出す」といっても、ニックスから逃げ出したいわけではない。5年前、自ら選んでやってきたニューヨークの地――。そして2年前には、フリーエージェントで他チームから勧誘されながらも、ニックスに残ることを選んだ。アンソニーや家族にとって故郷でもあり、バスケットボール以外のビジネス面でもメリットがあるニューヨークだけに、「できればここで成功するチームを築きたい」というのが本音だ。

 それでも、今年5月で32歳になる彼にとって、現役として残された時間には限りがある。最近は故障で欠場することも増えてきた。信頼し、敬愛するコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ/SG)も、3年ほどケガで苦しいシーズンを送り、引退したばかりだ。名将と呼ばれていたフィル・ジャクソンも、球団社長としては新人であり、魔術師でも、救世主でもないと思い始めてもいる。

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