【NBA】「嫌われ者」から「名脇役」へ。進化が止まらないJ・J・レディック (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 だからこそ、レディックは自分を守るために、ヤジに動じない傲慢な人格を装い、作り上げたのだという。

「あのころの自分は、相手の観衆のヤジや戯(たわむ)れに対抗するために、別の人格を作り出していた。思えば、あれは本来の自分ではなかった。最初の2年間は特にそうだった。実際、もっと敵対心をぶつけられても仕方ないぐらいだったと思う」

 子供のころから負けず嫌いで、人一倍やる気が強かったレディックは母親からよく、「あなたは狭い鶏小屋で食べ残しを与えられている鶏ではない。あなたは鷲なのよ。鷲になりなさい」と言われて育ったという。一見、教育ママの言葉のように思えるが、実際これは聖書のなかにある言葉、「しかし、主を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。走ってもたゆまず、歩いても疲れない」(イザヤ書40:31) にもとづいたアドバイスだった。神を信じ、正しいことをやり続けていれば、神からの力を授かって鷲のように羽ばたき、高い壁も乗り越えることができる――という意味だ。

「子どものころは、『わかった、わかった』と言っていたけれど、人生を通してこの言葉に何度も救われてきた」とレディックは言う。

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