【NBA】ドアマットチームだったキングスを蘇らせた「2頭の猛獣」 (4ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by Getty Images

 そんなカールは、猛獣たちに「ディフェンスをやれ!」と叱咤してモチベーションを下げるよりも、「獲られた以上に点を獲ってこい!」と気分良くプレーさせることを選んでいるのだろう。かくして、「最強の矛と最弱の盾を持つチーム」は生まれたのだ。

 キングスの後半戦の浮沈を握るキーマンは、おそらくルディ・ゲイ(SF)ではないだろうか。今季はカズンズに次ぐ平均18.0得点をマークしており、カズンズとともにリオ五輪アメリカ代表の最終候補30名に名を連ねる実力者である。

 だが、ゲイに関して気になるのは、どこまでも運がない点だ。9年間のキャリアでプレーオフに出場したのは、2011-2012シーズンのたった1回のみ。2012-13シーズン、当時メンフィス・グリズリーズに所属していたゲイは、シーズン途中でトロント・ラプターズにトレードされた。するとその後、グリズリーズは球団シーズン勝利数記録(56勝と)をマークし、カンファレンス・ファイナルまで進出している。

 さらに2013-14シーズン、ゲイは開幕直後にキングスへトレードされた。すると、ラプターズは48勝を挙げて地区優勝を飾っている。両チームとも、ゲイ放出後にチームは躍進しているのだ。現在、ゲイにはトレードのウワサが囁かれているのだが......。

 ロンドとカズンズ――、2頭の猛獣はこのままキングスで共闘していけるのか。それとも、過去の歴史と同じく内部崩壊を引き起こしてしまうのか。どちらに転ぶかは誰にもわからないが、1990年代後半に多くのファンを魅了した"面白いキングス"が帰ってきたのは、間違いない。

※数字は現地1月28日現在。

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