【NBA】オシャレなラッセル・ウェストブルックが安い服を着る理由 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 実は、ウェストブルックの一見奇抜なファッション感覚は、子どものころから培(つちか)ってきたものだったという。といっても、子どものころは洋服にお金をかけられるような家庭環境ではなかったから、工夫が必要だった。たとえば、今でもウェストブルックがよくかけるレンズなしの眼鏡フレームは、中学生のころに中古品販売店で2ドルのフレームを買ったのが始まりだったという。

 突拍子もなく見えるウェストブルックのファッションだが、彼なりのポリシーがいくつかある。特に重要なのは、人と違う格好をすること。人と同じ無難で没個性な格好よりも、たとえ笑われても自分のセンスを表現できることのほうが大事だった。

 もうひとつ、ウェストブルックのポリシーに、値段の高いものだけでなく、手ごろな値段のものも混ぜることがあった。高級な服だけだと、かつての自分のように、ファッションに興味がある貧しい子どもたちには無縁なファッションになってしまう。

 昨年秋、アメリカメディア『ブルームバーグ』の取材を受けたウェストブルックは、こう語っている。

「僕にとって、自分のルーツを忘れないのは大事なことだ。昔から2000ドルもするようなシャツが買えたわけではない。自分が育ったころに周りにいたような人たち、(低所得者が多い)都市部の子どもたちや、オシャレをしたいけれどお金がないような人たちともつながっていたい。高いものと値段を抑えたものを混ぜることで、高いお金を払わずにどうオシャレすればいいかの感覚を伝えられる」

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