NBAを目指す八村塁が「バスケは楽しいです」と言える原動力 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

「下級生の頃から試合に出ていた八村の代は、ウエイトトレーニングをはじめ全体的にトレーニングの強度を上げましたが、大前提にあったのは、佐藤コーチのバスケをしっかり学んでほしかったので、ケガをしないことや、バスケットに必要な体の使い方を身につけるトレーニングを中心に行いました。具体的に言うと、体幹や下半身を鍛えてぶつかり合いに強くしたことや、ひとつの筋肉というよりは全身を使うコーディネーション系のトレーニングを増やして基礎筋力をつけたことで、パフォーマンスは上がったと思います。特に八村は徹底して下半身強化をしたことにより、ジャンプ力が上がり、40分間走れるスタミナがつきました」

 バランスのいい体作りによって大きなケガもなく、心技体を鍛えた3年間。八村の言う「楽しかった」とは、毎日の取り組みこそが成長につながることを実感し、そのプロセスをコートで発揮できたからこそ、心の底から出てきた言葉なのだろう。

「毎日本気で練習をやってきたから、それが出せる試合がすっごく楽しかったです」

 もっとも八村に言わせれば、楽しいのは試合だけではないという。「久夫先生は自分のことを『ダイヤモンドは傷つけて磨かなければ光らない』と言ってくれたから、痛めつけられている練習でもうまくなると思えば楽しく感じた」と言ってのける。そんな八村の成長を見て、佐藤コーチはこのような指摘も忘れない。「ウインターカップの決勝は90%の力を出してくれた。けれど普段からもっと力を出せるはず」

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