NBAを目指す八村塁が「バスケは楽しいです」と言える原動力 (2ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 身長201cm、体重98kg。伸ばした両手のウイングスパンは215cmにもなる。ブロックショットやリバウンド、ダンクシュートは高さとパワーがあり、一方でしなやかな身のこなしと柔らかいシュートタッチも兼備。そんな恵まれた体躯を持つ八村の17年間は「出会いと感謝の連続」だったという。ベナン人の父と日本人の母を持つ八村は「ハーフであることがうれしい」と素直に言う。「ここまで動ける体に生んでくれた両親、バスケと出会った中学時代、バスケの基本を叩き込まれた高校時代があるからこそ今の自分がある」と感謝の気持ちも忘れない。

 決して、素材の良さだけで注目を集めてきたのではない。日々の積み重ねこそが今の八村塁を形成しているのだ。

 佐藤コーチは彼の将来を考え、ポジションを固定せずにプレーの幅を広げて育成してきた。下級生の頃は本人も認めているように「さぼりグセ」が目立った。しかし今では何度もリバウンドやブロックに跳び続ける根気を練習で養い、試合では誰よりも高く跳び続けている。こうしたしつこさは明成の選手の誰もが心がけていることで、球際を制する練習や1対1の状況でシュートを決め切ることを徹底してやってきた。

 また、八村は高校2年で出場したU17世界選手権を経験してからは、当たり強い体を作る必要性を痛感し、トレーニングにも精を出すようになった。もっとも力を入れてきたのがバランスのいい筋力作りだ。トレーニングを指導する高橋陽介アスレティックトレーナーはこのように語る。

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