【NBA】今年がラストシーズン「かもしれない」K・ブライアントの本音 (4ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 そんなコービーにとって、引退を前にした今シーズンは、これまでとは違うチャレンジが待ち構えている。選手として根底を流れる、飽くなき勝利への欲求の一方で、愛着あるレイカーズの将来を託すことができる若手選手たちの成長を助けたいという気持ち……。そのふたつとどのようにバランスを取り、納得できるシーズンを送ることができるのか。端(はな)から無理だと断言する人もいる。確かにコービーは、若手が実力を発揮できるように、自ら一歩引いてプレーするようなタイプではない。

 それでも、この数年の彼は自分ひとりだけでなく、まわりの若手選手たちの成長に楽しみを感じているようだ。若いころのような孤高のエースではなく、成長したいという気持ちを持つ若手に対して、「自分の学んだことを伝えたい、成長を助けたい」との思いが少しずつ強くなってきたように見える。

 たとえば、今季のレイカーズで最年少(19歳)のルーキー、デアンジェロ・ラッセルが生まれたのは、コービーがレイカーズにドラフト指名される4ヶ月前だ。ふたりの年の差は、17歳半も開いている。ラッセルがレイカーズにドラフト指名された数日後、コービーはラッセルに電話をかけて「君のすばらしい話はたくさん聞いているよ」と伝え、レイカーズ入りを歓迎したという。ラッセルは「自分のメンターになっていろいろと教えてほしい。スポンジのように吸収したい」と、弟子入り志願している。

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