【女子バスケ】3大会ぶりの五輪出場へ渡嘉敷来夢が「やってやる!」 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 迎えるリオ五輪予選では戦い方を変えるしかない。「世界選手権では足を止められた反省があるので、今回は今まで以上に走って勝つ勢いを出したい」(内海知秀ヘッドコーチ)と、日本の良さをより前面に掲げたチーム作りを推し進めることにしたのだ。

 その勢いの象徴が、スピードと鋭いドライブインを武器にスタメンの座をゲットした23歳の本川紗奈生(もとかわ さなえ/シャンソン化粧品)、そして3ポイントシュートが得意なメンバーを揃えたことだ。本川は近年の日本には珍しいスラッシャータイプのシューティングガード。若手で臨んだ昨年のアジア競技大会では銅メダル獲得の主力となり、成長著しい。また栗原三佳(トヨタ自動車)、山本千夏(富士通)ら若手シューターが選ばれた中で異色なのが37歳のベテラン、三谷藍(富士通)の復活だ。三谷には若手が戸惑ったときに、短い時間で流れを変える一撃が期待される。

 ようやく世代交代に踏み切った韓国も厄介な相手に代わりはないが、それでもやはり、ホームアドバンテージがある中国こそ、今大会一番の難敵になるだろう。中国は昨年の世界選手権でヨーロッパの強豪、セルビアやベラルーシから勝ち星をあげて6位になる急成長を見せ、王座奪回に燃えているからだ。

 そんな中で日本の最大の武器となるのが渡嘉敷来夢の存在である。

 日本代表に合流した渡嘉敷はやる気に満ちていた。WNBAに参戦して3カ月あまり。ストームでは27試合に出場し、平均20.1分出場、8.3得点、3.0リバウンド、最高21得点を記録。チーム再建期のためになかなか勝ち星は得られていないが、コートでの存在感は徐々に大きくなり、「運動神経が良いタク(渡嘉敷)はディフェンスで貢献している」とジェニー・ブーザックヘッドコーチに言わしめるほどである。

 日本人がアメリカで運動能力を認められることは、これまでのバスケット史上なかったこと。本人が「毎試合すごい選手と対戦できることにワクワクしっぱなし。うまくいかない時は、それをどうしようかとやり合えることもすごく楽しい」と思える感情や体験は、日本にいたら味わえないことだろう。

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