40歳のアレン・アイバーソンが語った「NBA復帰」への思い (3ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 もっとも、76ersの経営陣の姿勢も仕方ない面はある。アイバーソンの私生活は現役時代から問題が多く、特にキャリア終盤は、アルコールやギャンブルの問題が露出していた。妻との信頼関係は崩れ、一時は離婚の手続きに入ったとも伝えられた。今回のセレモニーにはその妻も参列し、スピーチの最後では子どもたちとともに妻にも感謝の気持ちを表していた。嵐のような日々の合間にできた、一瞬の晴れ間だったのかもしれないが……。

 スピーチの冒頭で、アイバーソンはこんなことも言っていた。

「子どものころ、マイク(マイケル・ジョーダン)のようになりたいと思っていた。彼がいなければ、自分はこのステージにいなかった。バスケットボール選手になるというビジョンすらなかった。だから、彼のことを敬愛し、尊敬している」

 アイバーソンがジョーダンを敬愛するのと同じように、アイバーソンに憧れ、アイバーソンのようになりたいと思い、バスケットボールを始めた多くの選手たちが彼の後ろにいる。今回の受賞トロフィーを見るたびに、そのことを思い出し、毎日、毎ラウンドを戦い、立ち上がるエネルギーにしてほしい。そう願ってやまない。

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