【NBA】なぜスパーズは「オルドリッジ獲得」の賭けに出たのか?

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 サンアントニオ・スパーズには、何をやっても成功するイメージがある――。もちろん、成功ばかりでないから優勝できずに終わるシーズンがあり、昨シーズンもプレーオフ1回戦で敗退したわけだけれど、それでも、そのような良いイメージが定着している。

スパーズ入団会見でのビュフォードGM(左)とオルドリッジ(右)スパーズ入団会見でのビュフォードGM(左)とオルドリッジ(右) それは、1997年にグレッグ・ポポヴィッチ・ヘッドコーチ(HC)とティム・ダンカン(PF)がコンビを組み始めて以来、18シーズンにわたって毎シーズン勝率6割以上をキープし、一度もプレーオフ進出を逃したことがない安定性のためだ。ダンカンが加わったときにチームを支えていたデビッド・ロビンソン(C)やショーン・エリオット(SF)が引退した後は、トニー・パーカー(PG)、マヌ・ジノビリ(SG)、さらにはクワイ・レナード(SF)と、賢いドラフト指名でチームの土台を作り、その周りにもチームに合う選手をドラフトやトレードなどで補強してきた。フリーエージェントで選手を獲得することもあったが、他チームと大物を競り合うのではなく、スパーズらしい選手を適正サラリーで獲得するのが、これまでの「スパーズ・ウェイ(スパーズのやり方)」だった。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 そんなスパーズが、この夏、大きな賭けに出た。ラマーカス・オルドリッジ(PF)の争奪戦に乗り出したのだ。ポートランド・トレイルブレイザーズで9シーズン過ごし、オールスター・フォワードとして活躍するオルドリッジは、この夏、最も注目されていたフリーエージェント選手だった。実際、スパーズ以外にもトレイルブレイザーズやロサンゼルス・レイカーズ、フェニックス・サンズ、ニューヨーク・ニックスなど、多くのチームが補強の第1候補として狙っていたほどだ。

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