【NBA】ステファン・カリーが欲しかった「もうひとつのトロフィー」 (2ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by Gatty Images

 それはつまり、遅からずデイビスの時代が到来することが約束されたと言ってもいいだろう。しかし、「まだ、お前の番じゃない」と言わんばかりに、カリーはファーストラウンド4試合で平均33.8得点を記録し、今季の主役がどちらかなのかを知らしめた。

 さらにウォリアーズは、カンファレンス・セミファイナルでマーク・ガソル率いるメンフィス・グリズリーズと対戦し、4勝2敗で勝ち進む。堅守を誇るグリズリーズ相手に、カリーは平均24.5得点にとどまるも、1勝2敗で迎えた第4戦で33得点、カンファレンス・ファイナル進出を決めた第6戦で32得点と、ここぞという試合で大爆発。敗者のガソルは、「言い訳はしない」と潔く結果を受け入れるしかなかった。

 次なるはリーグ屈指のスコアリングマシーン、ジェームス・ハーデン率いるヒューストン・ロケッツとの対決となったカンファレンス・ファイナル。ウォリアーズは4勝1敗でハーデンに競り勝ち、40年ぶりとなるファイナル進出を決めた。レギュラーシーズンのMVP投票でカリーの次点に甘んじたハーデンは、平均28.4得点の活躍を見せたものの、カリーはそれを上回る平均31.2得点を記録した。

 そして、いよいよNBAファイナル――。イースタン・カンファレンスを勝ち抜いてきたのは、今季オールNBAチームの1stチームメンバー最後のひとり、「キング」ことレブロン・ジェームズ率いるクリーブランド・キャブスだった。ファイナルでレブロンを破って優勝すれば、カリーが現在のNBAでナンバー1プレーヤーであることを疑う者はいなくなるだろう。レギュラーシーズンMVPの授賞式で、トロフィーを掲げながら言ったカリーの言葉が、現実になろうとしていた。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る