【NBA】世代交代の波、到来? 次世代を担うプレイヤーたち (3ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by Getty Images

 リーグ2年目、昨年12月に20歳になったばかりの「グリーク・フリーク(ギリシャの怪物)」こと、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス/SF)も見逃せない逸材だ。細身で長身の体躯は、ケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー/SF)を彷彿させる。206センチで登録されているが、その成長はまだ止まっておらず、「今は211センチあるのではないか」とも言われている。それでいて、脅威の身体能力と、ガードクラスのハンドリング能力を持ち合わせているのだ。

 デビューイヤーだったヤニスの昨季は平均6.8得点。今季は11.7得点まで上昇させている。しかし数字だけでは、彼の怪物ぶりは見えにくい。その脅威の身体能力でファンを驚かせたのが、11月28日のデトロイト・ピストンズ戦である。なんとヤニスは、3ポイントラインの外からステップを切り、レイアップを決めたのだ。まだまだ荒削りな面も多いが、オープンコートでは、まさに「怪物」の名に恥じぬパフォーマンスを発揮している。数年後、どんな選手に化けるのか、今から注目しておいて損はない。

 そしてもうひとり、今季の新人王最有力と言われているアンドリュー・ウィギンス(ミネソタ・ティンバーウルブズ)にも注目したい。高校時代に「レブロン・ジェームズ以来最高の逸材」と評価され、名門カンザス大で1年生ながらエースとして活躍。2014年6月のドラフト全体1位で指名された、19歳のシューティングガードだ。

 スターターに故障者が続出し、今年のティンバーウルブズはウェスタン最低勝率(.175)とまったくいいところなし。しかし、ウィギンスにとってはプレイングタイムを十分に確保できる好状況となった。

 ウィギンスは最初の20試合で、20得点オーバーした試合はわずかに3試合。マスコミから「期待外れのドラフト1位」と批判された。しかし、12月後半ごろから覚醒すると、直近の20試合では11試合で20得点オーバーを記録している。1月17日のデンバー・ナゲッツ戦では、キャリハイとなる31得点もマーク。この試合ではレフェリーが、ティンバーウルブズのフリップ・ソーンダースHCに、「この1ヶ月での彼の成長は驚異的だ」と語りかけたと伝えられている。レブロン・ジェームズ以来最高の逸材と呼ばれる男のポテンシャルは、天井知らずだ。
 
 新時代を担う若手が次々と台頭し、世代交代の予感も漂わせる今季のNBA。レブロンやデュラント、ハーデンといったリーグを牽引する現在のスター選手は、新興勢力の勢いを止めることができるのか――。優勝争い同様、世代間の争いからも目が離せない。

※データは現地1月20日現在

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