【男子バスケ】佐古賢一が見せた、ヘッドコーチとしての手腕 (3ページ目)

  • 横谷和明●取材・文 Yokoya Kazuaki
  • 伊藤真吾/アフロスポーツ●写真 photo by Ito Shingo/AFLO SPORT

「最初は若手に対してあまり注文しないで、自由にやらせたほうがいいのかなと思っていたんです。最近の若い子たちはあまり強くものを言うと、萎縮してしまうのではないかと。でも、やはり強く言わないと分からないこともある。時に厳しい言葉になってしまうこともありますけど、今は言うべきことはしっかり言うように心掛けています。僕のプレイを後輩たちが見て、一緒にステップアップしてくれたらうれしいですね」

 決勝では若手選手が硬くなっている姿を見て、「自分が引っ張らないといけないと思ったのですが、それが空回りしてしまった」と振り返る。対戦相手の双子の弟の竹内譲次(日立)にもプレイを読まれてしまい、自らの得点は8点に抑えられてしまったが、両チーム最多の13リバウンドを奪い、ゴール下で奮闘した。「付け入る隙がないくらい、良いバスケットをしていた」という日立には負けたものの、チームの成長を大きく感じられた大会でもあった。

「決勝で負けましたけど、このチームはどんどん強くなれると確信しました。自分たちがヘッドコーチにこういうプレイを求められているということがだいぶ分かってきたと思います。後半戦はイースタンカンファレンスのチームと戦うことが多くなるので厳しい戦いが続きますが、まずはプレイオフに出場することが目標ですね()。いきなり優勝を狙うなんて、そんなに甘いものではないことも分かっていますけど、後半戦もこの勢いを持続してどんどん成長していきたいです」(竹内)
※イースタン7チーム、ウェスタン6チームのそれぞれ、レギュラーシーズン上位3チームがプレイオフへ進出する。

 決勝で敗戦したことはもちろん悔しい。だが、それ以上にこの大会を通じて得た収穫の大きさが、竹内を筆頭に試合後の選手たちの清々しい表情から読み取ることができた。

 大舞台を経験し、ステップアップを果たした佐古HC率いる広島が、リーグ後半戦でどのような戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。

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