bjリーグ青木康平「日本バスケ界を代表する選手がもっと発言すべき」 (2ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

――環境の面では、両リーグを比較して、何がいちばん違うと感じていますか。

青木 練習施設ですね。練習会場を転々とするのは企業チームにはわからないとてもタフな状況なんです。僕はオフに韓国(KBL)やアメリカ(ABAサマープロリーグ)の練習に参加したことがありますが、バスケットだけに集中できる環境というのは、それは素晴らしかったです。NBLにもそういうチームはありますし、bjでも沖縄や秋田のように、地域密着で成功しているチームもあります。けれど、bjリーグの中でそういうチームが全部かといえば、全部ではないのが現状です。僕らのチームは市の体育館を転々とし、2~3時間の枠で練習後のトリートメントまで終わらせなきゃいけない状況です。

――でもそのような、自分の評価が翌年の契約につながっていく環境で、10年もの間、第一線での契約を勝ち取れたことは、自信につながったのでは。

青木 それは確実にありますね。僕らはサラリーキャップという制限があるので、いい結果を出したからといっても必ずしもいい契約ができるとは限らない。そんな中では複数年の契約はできません。もしかしたら、企業チームの中には、試合にあまり出ない選手でも、bjリーグの試合に出ている選手よりも給料をもらっているケースもあると思います。そのギャップを僕は感じていて、むしろ、それをモチベーションにして10年間やってきたというのが正直あるんです。僕はプロである以上、年俸をみんなの前で発表できるくらいの選手になりたいと思って目指してきたけれど、制限がある中で自分だけもらうのは厳しく、その辺の歯がゆさはありますね。

――違う環境の中でやってきた者たちが、それでもひとつのリーグでやらなきゃいけないと思う最大の理由は何ですか?

青木 僕はオフになると自分で立ち上げたスクール(WATCH&C ACADEMY)で子供たちを教えているのですが、その子供たちがプロを目指すとなった時に同じような思いをしてほしくないんですよね。bjでもNBLでもリーグの名前は何でもいいけれど、今は日本のプロが何なのかをハッキリ言えず、選択肢が多すぎる。今でこそ、富樫(勇樹)がNBAにチャレンジして「富樫のようにNBAを目指したい」と言う子はいるけれど、「日本のプロバスケ選手を目指す」とハッキリと言えるかどうか。特に地方の子たちは情報も少なくて、地元の子供たちが「ライジングに入りたい」と言ってくれた時に「実はもうひとつリーグがあるんだよ」と説明するような状況はとても残念です。

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