NBA開幕。王者スパーズの連覇を止めるのはどこだ? (2ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by Getty Images

表は昨季の順位。丸数字は昨季プレイオフ進出チーム表は昨季の順位。丸数字は昨季プレイオフ進出チーム だが、デュラントは、「この状況は好機だ」と語る。「チームメイトの出場機会が増え、それが彼らの自信となる。僕はゲームに出ていない間に多くのことを学んでいるし、ウィン・ウィンな状況だよ」。

 確かに昨季のプレイオフを見ると、サンダーは2枚看板こそ脅威だったが、常にあと1枚足りない感がつきまとった。デュラントのいない状況が、スティーブン・アダムス(C)やジェレミー・ラム(SG/SF)ら若手の成長を促(うなが)すことになれば、打倒スパーズも現実味を帯びてくる。序盤戦のデュラント不在が吉と出るか凶と出るかは、シーズンが終わるまで分からない。

 同じく打倒スパーズを掲げているのは、昨季カンファレンス3位のロサンゼルス・クリッパーズだ。スターター5人を保持したまま、さらなる補強に成功。新加入のスペンサー・ホーズ(C)がインサイド、ジョーダン・ファーマー(PG)がクリス・ポールのバックアップとなり、戦力はいっそう充実した。

 その中でも、一番の戦力アップと言える要因は、ブレイク・グリフィン(PF)のシュートレンジが広がったことだろう。身体能力とダンクがウリのグリフィンが、オフのトレーニングでミドル&ロングレンジからのシュート力を向上させた。プレシーズンゲームのゴールデンステート・ウォリアーズ戦では、第1クォーターだけで3ポイントシュートを含む計6本のジャンプショットを成功させ、26分の出場で24得点を挙げている。グリフィンのミドルレンジからのシュート成功率の向上が、打倒スパーズのカギになるのは間違いない。

 今季のウェスタンでダークホースを挙げるならば、昨年ホーネッツから改名したニューオリンズ・ペリカンズだろう。注目は、昨季デビュー2年目にしてブロック王に輝き、リーグ屈指のビッグマンへと進化を遂げたアンソニー・デイビス(PF/C)だ。ワールドカップではアメリカ代表の主軸として活躍し、デュラントが「次のMVP候補」と名指しした21歳である。前述のGMアンケートでも、「もし、これから球団を率いるとして、好きな選手を獲得できるとすれば誰を選ぶ?」という設問に、デイビスはサンダーのデュラントと並んで2位を獲得(1位はレブロン・ジェームズ)。昨季のペリカンンズの成績(34勝48敗)も、デイビスが故障で15試合欠場し、主力級が次々と長期離脱した結果だけに、度外視できる。今季、ペリカンズがウェスタンの「台風の目」になる可能性は十分にあるだろう。

 ポテンシャルという部分に期待するのなら、ミネソタ・ティンバーウルブズにも注目が必要だ。2003-04年シーズンを最後にプレイオフに進出できておらず、過去10年間で1度しか勝率5割を越えたことがない。さらにオフには、エースのケビン・ラブ(PF/C、現クリーブランド・キャブス)も放出した。しかし、ラブとのトレードで、「レブロン以来最高の逸材」と呼ばれる2014年ドラフト全体1位指名のアンドリュー・ウィギンス(SG/SF)と、2013年にカナダ人初のドラフト全体1位指名を受けたアンソニー・ベネット(SF/PF)を獲得。ドラフト1位の看板は、決して軽くない。シーズンが終わってみれば、トレードで得をしたのはキャブスではなくウルブズ、と言われている可能性もある。

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