【NBA】勢力図が一変。レブロン加入でキャブスが大本命 (3ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by Getty Images

 一方、ピストンズはスタン・ヴァン・ガンディHCが新しく就任。ディフェンスの構築に定評のあるガンディなら、昨季リーグ27位(平均104.7失点)と崩壊したディフェンス面を再建するだろう。ガンディはHC職と同時に、球団社長にも就任。その結果、昨季から懸念材料だったSG不足を補うためにジョディ・ミークスを、エースのブランドン・ジェニングス(PG)の控えにD・J・オーガスティンを、そして勝者のメンタリティーを植え付けるために優勝経験のあるカロン・バトラー(SF)を獲得。現場のニーズをダイレクトで反映できるHCと球団社長の兼任は、早くも良い方向に働いている。グレッグ・モンローとアンドレ・ドレモンドの両ビッグマンを擁し、バランスよく駒を揃えている今季のピストンズは、ダークホースとして注目すべきチームだ。

 対して、昨季カンファレンス・ファイナルで東の覇権を争ったマイアミ・ヒートインディアナ・ペイサーズの2チームは、苦戦を強いられそうだ。ヒートは、ウェイドとボッシュがシーズンを通して好調を維持し、新加入のルオル・デン(SF)が奮起すれば、プレイオフ出場は可能かもしれない。だが、レブロンが抜けた大きな穴は、誰にも埋めることはできないだろう。

 ペイサーズは、エースのポール・ジョージ(SG/SF)の故障離脱がかなりの痛手だ。ジョージは8月に行なわれたアメリカ代表のエキシビジョンゲームで、バックボードを支える支柱下部に足首を強打。腓骨(ひこつ)と脛骨(けいこつ)を骨折し、本人が、「骨が突き出しているのが見えた。過去、あんな痛みは感じたことがなかった」と語るほどの重傷を負った。

 ドクターはシーズン全休を示唆したが、ジョージ自身は、「望みはあると思っている。なぜなら、僕は戻ってきたいからだ」と語り、懸命にリハビリを行なった。そして、なんと10月20日、チーム練習後のコートでシューティングに励む姿を披露している。「ジョージのために」とチームが一丸となり、シーズン終盤にジョージがもしもコートに立つという奇跡が起きれば、再び優勝争いに食い込むことができるだろう。

 このように、一気に勢力図が激変した今季のイースタン・カンファレンス。キャブスとブルズという主役を軸に、どのダークホースがプレイオフ争いに加わってくるのか。混沌としそうな「東部戦線」に、注目あれ。

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