【NBA】21歳で米代表を支える「A・デイビス」という逸材 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 208センチの長身ながら、敏捷性と高い運動能力を兼ね備えたデイビスは、オフェンスでもディフェンスでもゴール下を支配する存在として期待されている。たくましくなった身体で、NBAよりもフィジカルを求められるFIBA(国際バスケットボール連盟)のゲームに対応することができるはずだ。味方が出すロブパス(※1)に合わせてのアリウープ・ダンク(※2)は、大会中の注目プレイのひとつになるだろう。また、デイビスは中距離のシュートも決められるので、オフェンスで穴になることもない。

(※1)ロブパス=守備選手の頭上を越えて通す浮き球のパス。
(※2)アリウープ・ダンク=空中でキャッチしたパスをダンクシュートするプレイ。

 一方、ディフェンスでは、代表最大の武器であるアグレッシブなトラップ・ディフェンス(※3)にも対応でき、秀でたブロック力によってアメリカの最終防御ラインとなる。ロンドンオリンピック後、昨年の夏も若手代表キャンプに参加し、シャシェフスキーのシステムにも慣れた。21歳と年齢は若いものの、すっかりベテランの風格だ。

(※3)トラップ・ディフェンス=相手を意図的に特定の方向に攻めさせる罠を仕掛け、ボールを奪う守備戦術。

 シャシェフスキーHCは、「2年前の不運な出来事(グリフィンの故障)が、今となっては好運となっている」と言う。

 2年前、グリフィンが故障したことでオリンピックという舞台を経験でき、国際大会で戦うことがどんなことなのか、身をもって感じたことで、デイビスは階段を上るようにステップアップしてきたわけだ。

 デイビス自身は、FIBAのゲームへの対応や、代表チームで自分に求められていることを次のように語る。

「(FIBAルールでは)ディフェンス3秒ルールがないから、ブロックショット好きな僕にはプラスだ。オフェンスはどこでボールをもらおうと、シュートを決めるだけ。とにかくゴールの前まで走り、スクリーンをかけたり、チームのために必要なことは何でもやるつもりだ。自分のシュート範囲の外から打つつもりはないし、コーチから求められたことをやるだけ」と、あくまでも役割をこなすだけだと強調した。

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