【NBA】なぜレブロンはダンカンに二度負けたのか? (3ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by Getty Images

 22歳までにNBAファイナルで29得点以上を記録した選手は、マジック・ジョンソン(1979年~1991年、1996年/元ロサンゼルス・レイカーズ)、コービー・ブライアント(1996年~/レイカーズ)に次ぐ3人目となる。第3戦のレナードの活躍を見たマジックは、ツイッターでこうつぶいている。

「私の言葉を覚えておいてほしい。クワイ・レナードはいつの日か、NBAのスター選手になる!」

 その言葉は数日後、まさに現実となった。第4戦では20得点、そして第5戦でも22得点。マジックのつぶやきからわずか5日後、将来有望な若手のひとりだったレナードは、ファイナルMVPという称号を手に入れ、スター選手の仲間入りを果たした。

 ファイナルMVPこそレナードに譲ったものの、38歳のダンカンもまた、シリーズ中に偉大な記録をふたつ、打ち立てている。ひとつは、プレイオフキャリア通算ダブルダブル数で、マジックを抜いて歴代単独首位(158回)に躍り出たこと。そしてもうひとつは、通算プレイオフ出場時間でカリーム・アブドゥル=ジャバー(1969年~1989年/元レイカーズなど)を抜いて歴代最多となったことだ。

 ダンカンはファイナル中に、こんなコメントを残している。

「ここ何年かは、これまでの道程や、これまでに達成したことを振り返っている。そのひとつひとつが、これで最後になるかもしれないから。終わりが近づいているのは理解している。だから、今は以前より試合を楽しみ、感謝しているんだ」

 また、ファイナル前日には、引退について聞かれた際、こうも語った。

「起きるときに、起こるよ」

 ファイナルを制したことによって、ダンカンは引退するか否かで判断に揺れていると言われている。来シーズン、レブロンは2度と打ち破ることのできないライバルを胸に新たな歴史を刻んでいくのか、それとも再び立ちはだかったレジェンドに挑むべくコートに立つのか。結末の予想できない物語は、続く――。


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