【NBL】新リーグ1年目を終えて。新たな取り組みの成果は? (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kaz
  • photo by Konagayoshi Yoko

 具体的には、球団の財力の差が競技面と興行面の双方で如実に差を生み出している。企業チームにはプロ球団よりもはるかに潤沢な活動運営資金があり、練習環境なども整備されている。プロ球団とは雲泥の差があるだろう。

 資金が潤沢であれば、それが日本人選手であろうと外国人選手であろうと、より良い選手が獲得できる(NBLでは戦力均衡の目的で選手年俸総額の上限が1チームあたり1億5千万円に設定されているが、これだけの額を払えるプロ球団は多くないようだ)。あるいは直接的にサラリーがそこまで高くなくとも、安定した大企業のチームに加入したいという選手は今も多いと聞く。

 戦力差はチーム間の成績格差にも直結する。今季、西カンファレンスのプレイオフ進出チームは3月の半ばには決まってしまったが、これはいただけない。イベント演出やファンサービスよりも何よりも本来は競技自体の白熱した面白さが一番のエンターテイメントであるべきはずが、これでは本末転倒だ。

 また、自主興行になって各球団がチケットを売って客を呼び寄せる努力をしないといけなくなったと言っても、プロチームと企業チームの努力の差は歴然だ。なにしろ後者は必死にチケットを売らなくてもつぶれることがないのである。会場演出や公式ホームページなど、運営面の温度差はまだかなりあると言わざるを得ない。集客の面に関しては、プロチームの方が相対的に善戦した。

 こうした企業チームとプロチームの格差是正はこれから取り組まれるべき一番のことだろう。立ち上がったばかりのNBLには、まだまだ賛否の「否」の声が多いのも事実だが、一方で、先述した通りプロ球団が増え、自主興行が課せられるようになったことで、リーグやプレイする選手、球団運営スタッフのプロ意識が高まったと言えるところはある。

 先日、日本バスケットボール協会が、2リーグ(NBL、bjリーグ)が並立する状況打破に対する努力を払っていないなどの理由から国際バスケットボール連盟に資格停止処分の可能性を提示されるなど、取り巻く環境は厳しいが、リーグ関係者がより高いプロ意識を共有していけば、光明も見えてくるはずだ。

 1年目のシーズンを終えたばかりだが、NBLはそこへ向けて歩みを止めないでもらいたい。

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