2014.04.18

【NBA】王者が勝てないウェスタン。プレイオフは今年も荒れる?

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by AFLO

 また、第6シードのゴールデンステート・ウォリアーズ(51勝31敗)が誇る、PGステフィン・カリーとSGクレイ・トンプソンの高性能シューターデュオ「スプラッシュブラザーズ」も、当たり出したら手が付けられない破壊力を持っている。新加入のSFアンドレ・イグドラはレギュラーシーズン中、2度のブザービーターを決めるなど、勝負強さも抜群。昨年は第6シードながらカンファレンス・セミファイナルまで進出し、スパーズに破れはしたものの2勝をもぎ取っている。今プレイオフで台風の目になるのは、スプラッシュブラザーズかもしれない。

 さらに、第8シードのダラス・マーベリックス(49勝33敗)の存在も見逃せない。昨シーズン、12年連続プレイオフ出場を途切れさせたが、1シーズンで返り咲いたのは地力がある証拠だ。プロキャリア16年目、今年で35歳となったPFダーク・ノビツキーは、シーズン中にオスカー・ロバートソン(1960年~1974年/ミルウォーキー・バックスなど)を抜き、NBA通算得点ランキング歴代10位に浮上(通算2万6786点)。スコアラーのSGモンタ・エリスが加わったことでノビツキーへのマークも緩和され、オフェンスにリズムが生まれている。

 マーベリックスといえば、近年では2011年のプレイオフを思い出す。第3シードながら当時2連覇中のロサンゼルス・レイカーズのスリーピート(3連覇)の夢を打ち砕き、NBAファイナルに進出。さらに、マイアミ・ヒートを撃破して初優勝を遂げた。結果論だが、ヒートが2011年のファイナルを制していれば、昨年の時点でスリーピートを達成していたことになる。まさに、「スリーピートキラー」的な存在のマーベリックス。今シーズン、ヒートのスリーピートの野望を打ち砕くのが彼らならば、あまりにもドラマチックだ。

 そして、上位陣にとって最も不気味な存在は、第7シードのメンフィス・グリズリーズ(50勝32敗)なのかもしれない。レギュラーシーズンを5連勝で締めくくり、プレイオフ圏外から一気に第7シードを奪取。PGマイク・コンリーはキャリアハイとなる平均17.1得点と成長著しく、なにより、「プレイオフ男」のPFザック・ランドルフと、Cマーク・ガソルのふたりは強さと高さを兼ね備えており、好調時はどんなチームも歯が立たない。現に、2011年のプレイオフ1回戦では、第1シードのスパーズ相手にランドルフが大爆発。第8シード(グリズリーズ)が第1シードを倒すという、ファーストラウンドが7試合制になって以降、史上2度目となる「ジャイアントキリング(番狂わせ)」をやってのけている。また、グリズリーズは昨年も、第1シードのサンダーを第5シードながら破った実績を持つ。

 繰り返すが、総合的に見れば、スパーズが頭ひとつ抜けた存在だ。しかし、オフェンス力、ディフェンス力、ベンチワーク、選手層……それらを足した最大値のチームが勝つ、わけではない。たったひとつでも相手を上回る武器を持つかぎり、ゲームに勝利する可能性はゼロではない。もちろん、迎え撃つスパーズも、ダンカン(37歳)、ジノビリ(36歳)、パーカー(31歳)のベテランたちに残された時間は、もはやわずか。掴める可能性の高いチャンピオンズリングを取りこぼしてはいられない。果たして、今シーズンのウェスタン・カンファレンスの「勝利の方程式」が導き出すのは、波乱か? 順当か?

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