【NBA】プレイオフ開幕。「3連覇」最大の壁はヒート自身? (2ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by AFLO

NBA PLAYOFFS 2014 Eastern ConferenceNBA PLAYOFFS 2014 Eastern Conference 一方、ペイサーズに代わる打倒ヒートの急先鋒としては、第4シードのシカゴ・ブルズ(48勝34敗)と、第6シードのブルックリン・ネッツ(44勝38敗)も侮れない存在だ。ブルズは今シーズン、2012年4月に左ひざ前十字じん帯を損傷したエースのPGデリック・ローズがようやく復帰。チームにも、ローズにも、輝く未来が訪れると思われた。しかし、ローズがわずかシーズン11試合目で右ひざの内側半月盤を故障して再離脱。イースタンの優勝候補の呼び声も高かったブルズだが、ローズ離脱後の10試合を3勝7敗と大きく負け越し、一度はプレイオフ圏外にまで沈んだ。

「まだシーズンは始まったばかり。残った選手たちが持てる力を発揮すれば、成功と呼べるシーズンを過ごせると信じている」。選手の意識を高め、屈強なディフェンスを構築する名将トム・ティボドー・ヘッドコーチ(HC)が語る言葉も、どこか夢物語に聞こえた。だが、選手たちはディボドーHCの言葉を信じた。チーム平均93.8得点はリーグ最下位ながら、平均失点はNBA全チーム中、最小の91.8点。まさに、チーム一丸となったディフェンス力で勝ち上がった。今シーズン、チームの得点が100点を超えたブルズの試合は、23勝2敗・勝率.920。3連覇を狙うヒート相手でも、「ゴートゥーガイ(※)」が現れ、かつロースコアゲームに持ち込めれば、勝機を見出す可能性は十分にある。

※ゴートゥーガイ=大事な場面で力を発揮する選手。

 一方、PFケビン・ガーネット、SFポール・ピアース、アンドレイ・キリレンコといったスター選手を大量に獲得し、ヘッドコーチに現役引退直後のジェイソン・キッドを据えた今シーズンのネッツ。選手の顔ぶれが一気に変わり、キッドHCの経験不足もあって、開幕前は、「チームが持つポテンシャルを最大限発揮するまでには時間がかかる」と囁かれていた。さらにシーズンが始まると、ケガ人が続出。なかなかベストメンバーを組めず、ネッツは低迷した。

 しかし、センターのブルック・ロペスこそ右足骨折でシーズン中の復帰は叶わなかったものの、主力が復帰してコートに揃うと、PGデロン・ウィリアムス、SGジョー・ジョンソンらを中心にチームは復調。プレイオフ圏外から順位を押し上げ、第6シードを獲得した。ボストン・セルティックス時代にチャンピオンズリングを獲得し、プレイオフの戦い方を熟知したガーネットとピアーズの存在は、ヒートにとって大きな脅威となるはずだ。なにより今シーズンのネッツは、レギュラーシーズンでヒートと4戦して4勝。マイアミキラーになり得る資格を十分に持つ。

 また、6年ぶりにプレイオフ出場となった2チーム、第5シードのワシントン・ウィザーズ(44勝38敗)と、第3シードのトロント・ラプターズ(48勝34敗)の存在もヒートにとって不気味だろう。

 ウィザーズは、2010年のドラフト全体1位指名で入団した4年目のPGジョン・ウォールがプレイオフ進出の原動力となった。今シーズン、ウォールはオールスターのダンク王に輝き、平均得点(19.4点)と平均アシスト(8.8アシスト/リーグ2位)でキャリアハイを記録。また、3ポイントシュートの成功率も格段に上昇させ、より抑えにくい選手へと成長した。一番の変化は、自己本位にシュートを乱発する傾向から、チームを勝たせるプレイに徹するようになった点だろう。チームUSA代表候補にも選出されたプロ2年目のSGブラッドリー・ビールとのバックコートデュオは、若さが溢れ怖いもの知らず。故障がちなSGドウェイン・ウェイドの左足ハムストリングの調子次第では、ヒートはかき回されることになるだろう。

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