【NBA】プレイオフ開幕。「3連覇」最大の壁はヒート自身?

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by AFLO

【2014年プレイオフ展望@イースタン・カンファレンス編】

 1970年代以降、スリーピート(3連覇)を成し遂げたチームは、マイケル・ジョーダンを擁したシカゴ・ブルズ(1991年~1993年、1996年~1998年)と、シャキール・オニールとコービー・ブライアントがコンビを組んだロサンゼルス・レイカーズ(2000年~2002年)のわずか2チームのみ。3シーズンに渡ってベストチームで居続けることがいかに困難なことなのか、歴史が物語っている。

スリーピートを狙うレブロン・ジェームズ。3つ目のチャンピオンリング獲得なるかスリーピートを狙うレブロン・ジェームズ。3つ目のチャンピオンリング獲得なるか 今シーズン、現在2連覇中のマイアミ・ヒート(54勝28敗/イースタン第2シード)がその名を歴史に刻まんと、現地4月19日から始まるプレイオフに挑む。もちろん、プレイオフに出場する他のチームは、NBAファイナルへのチケットをやすやすと渡したりはしないだろう。ヒートのスリーピートを阻止すべく、虎視眈々とその牙を研いでいる。

 打倒ヒートの筆頭は、第1シードのインディアナ・ペイサーズ(56勝26敗)だ。昨年のカンファレンス・ファイナルでは、ヒートを第7戦まで追い詰めた実績を持つ。昨シーズン、MIP(※)を獲得したSGポール・ジョージが才能を完全に開花させ、レギュラーシーズンの平均得点はキャリア初の20点超えとなる22.3得点。ジョージがエースとして成熟したことによって、ペイサーズは旧エースのSFダニー・グレンジャーをトレードで放出し、フィラデルフィア・76ersから万能型プレイヤーのエバン・ターナーを獲得した。

※カッコ内の勝敗は今シーズンのレギュラーシーズン最終成績
※ポジションの略称(PG=ポイントガード、SG=シューティングガード、SF=スモールフォワード、PF=パワーフォワード、C=センター)
※MIP=前年度と今年度の成績を比較して、最も成長した選手に贈られる賞。

 Cロイ・ヒバート、PFデビッド・ウェスト、ルイス・スコラを擁し、リーグ屈指と称されるインサイド陣に、今年2月、7フィート(約213センチ)を誇るアンドリュー・バイナムまでも補強。昨シーズンからの成長に、新たなピースを加え、ペイサーズは万全の体制を敷いたかに思われた。しかしオールスター以降、ペイサーズの勝率は急降下し、バイナムも早々に戦線離脱。レギュラーシーズン最後の10試合は4勝6敗と負け越し、息切れしながら第1シードを確保するに至った。急ブレーキの理由のひとつとして、ペイサーズ在籍6年目のヒバートは、「チームに自己中心的な選手がいる」と不満を漏らしている。それが誰を指しているのかは不明だが、ペイサーズはヒート撃破の実力を十分に備えつつも、早急なチームケミストリーの再構築を試みなければ、カンファレンス・ファイナルにさえたどり着けない可能性もはらんでいる。

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