【NBA】伝説の名将が社長就任。古豪ニックスは大きく生まれ変わる?

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi 是枝右恭●写真 photo by Koreeda Ukyo, Getty Images

 まだ今シーズンは終わっていませんが、フィル・ジャクソンの社長就任は早くも選手に好影響を与えていると思います。ヘッドコーチとしてチームを11度もNBAチャンピオンに導いているのですから、まさに選手にとっては神様のような人物です。そんな「伝説の名将」が目の前にいるのですから、プレイを見てもらいたい、評価してもらいたい、という気持ちにもなるでしょう。NBA歴代最高の勝率70.7%を誇る名将がどんな手腕を振るうのか、フィル・ジャクソンの動向が今から楽しみです。

 あくまでも想像ですが、フィル・ジャクソンはかなり大胆な改革を行なうのではないでしょうか。シーズン中、カーメロのトレード話が浮上しましたが、個人的には反対です。彼はニックスに残すべきだと思います。となると、サラリーキャップを考えれば、放出するのは高額年俸のアーマレでしょうか。まだ契約が残っていますが、フィル・ジャクソンならバッサリとアーマレを切るような気がします。また、ガード陣のテコ入れも十分に考えられるでしょう。ポイントガードのレイモンド・フェルトンはとてもいい選手なんですが、プロ3年目のイアン・シャンパートや、ルーキーのティム・ハーダウェイJr.など、スピード豊かな選手を活かし切れていません。フェルトンをバックアップにして、もうひとり、ウイングタイプの選手を使いこなせるポイントガードを補強するのも面白いと思います。

 フィル・ジャクソンがこれまで歩んできた道のりは、同じ1945年生まれの名将パット・ライリーと非常に似ています。ライリーは現役時代にロサンゼルス・レイカーズで優勝を経験し、ヘッドコーチとして5個のチャンピオンリング(レイカーズ=1982年、1985年、1987年、1988年/ヒート=2006年)を手に入れ、現在はマイアミ・ヒートの社長としてNBAを牽引しています。ライリーがヒートの社長に就任したことによって、あのチームは生まれ変わりました。果たしてフィル・ジャクソンも同じように、社長としても成功を収めることができるのでしょうか。僕は必ず、低迷の続く名門ニックスを甦(よみがえ)らせてくれると信じています。


取材協力:WOWOW
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プロフィール

  • 佐古賢一

    佐古賢一 (さこ・けんいち)

    1970年7月17日生まれ、神奈川県出身。179cm/ポイントガード。北陸高→中央大→いすゞ自動車→アイシン精機。日本を代表する司令塔として活躍し、『ミスターバスケットボール』と呼ばれる。的確な判断力と要所の得点力で、JBLリーグ優勝9回、全日本選手権優勝12回を果たす。2011年に現役引退。
    WOWOW(http://www.wowow.co.jp/sports/nba/)でNBA解説など活躍の場を広げている。現在はJBA理事ナショナル男子を担当。近況はコチラ

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