【NBA】スリーピートのために、ヒート「第3の男」が変身中

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 サイズの大きい選手を揃えているペイサーズに対抗するため、昨年夏、ヒートは2007年ドラフト1位選手の7フッター(213センチ)、ポートランド・トレイルブレイザーズのグレッグ・オデンと契約した。しかし、オデンは開幕以来、いまだ出場の出番はない。実際、試合に出たとしても、戦力としてどれだけ使えるのかも未知数だ。シカゴ・ブルズから解雇された同じく7フッターのアンドリュー・バイナムとの契約も噂されているが、ヒートは今のところ興味を示していない。

 となると、ペイサーズとの対戦で重要な役割を担うのが、211センチのボッシュだ。チーム最大の弱点であるリバウンド力を底上げするためにも、センターのボッシュの役割は大きい。オフェンスでも、インサイドでよりアグレッシブに攻める必要が出てくるだろう。これまで、レブロンやウェイドのためにアウトサイドに活路を見出していたボッシュにすれば、一巡して原点に戻ったようなものだ。

「今の自分は、トロントにいたころよりも、ずっといい選手だ」とボッシュは語る。「あのころの自分は、もっと多くの得点を決めていたが、チームに貢献できていなかった。しかし今では、攻守ともに貢献できるようになった。まったく違う選手になったんだ」。

 かつて、ボッシュは優勝するために、「第3の男」になる道を選んだ。だが今シーズン、ヒートがスリーピート(3連覇)を達成するためには、時と場合によって「エース」と「裏方」を演じ分けることのできる、ボッシュの幅広いプレイが求められるだろう。そして今のボッシュは、その両方で輝くことができる技量を併せ持っている。

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