【NBA】スリーピートのために、ヒート「第3の男」が変身中 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 スタッツだけを比較する人からは、「ボッシュは衰えた」とか、「レブロンのおこぼれをもらっている」と言われることもあったという。だが、2012年には、そういう声も気にならなくなった。プロデビュー8年目にして、ようやくNBA優勝を果たしたからだ。

「人が何を言おうと、もう気にしなくなった。(今の環境を)変えることはできないし、それは自分の仕事でもない」

 もっともボッシュ自身は、自分が「第3の男」になったつもりはないのかもしれない。ラプターズ時代と同じ役割でないことを理解し、オフェンスが自分中心に回っていないことも分かっているのだろう。スタッツに表れる数字だけが、すべてではない――。レブロンやウェイドがいるチームで自分の居場所を見つけ、役割を変えて適応し、ヒートの2連覇に貢献してきたという自負が、今のボッシュにはある。

 その気持ちの根幹にあるのは、「何よりも価値があるのは、チームの勝利」という想いだ。そして究極の目標は、もちろんNBAで頂点に立つことである。

「(ラプターズ時代には)平均20得点、10リバウンドを挙げたけれど、何も起こらなかった。何の賞も得られなかった。その時、本当に大事なことは、『勝利だけ』だと気づいたんだ」

 今回、ヒートに移籍して初めて週間MVPを受賞した理由は、レブロンやウェイドが欠場した中でチームを牽引して勝利に導いたからだ。だが今季のボッシュは、ふたりが出場している試合でも積極的なプレイをするように心がけているという。また、今シーズンのボッシュは、ふたりと一緒にコートに立っているときも、よりアグレッシブなプレイを求められるようになった。なぜならば、イースタン・カンファレンスで一番のライバルであるインディアナ・ペイサーズを退けるためには、ボッシュの活躍が不可欠だからだ。

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