2014.01.07

【NBA】気になるルーキーを発見。その名はドラモンド

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi 是枝右恭●写真 photo by Koreeda Ukyo, Getty Images

かつてないビッグマンの出現に驚きを隠せない佐古氏 ドラモンドの「走る」「跳ぶ」という身体能力は、NBAの中でも群を抜いていると思います。ボールを必死に奪おうとする「気質」も、バスケットボール選手として惹かれるものがあります。ただ、ドラモンドが魅力的な点は、もうひとつあります。それは彼、シュートがものすごくヘタなんです(笑)。フリースローが不得意で知られる同じセンターのドワイト・ハワード(ヒューストン・ロケッツ)でさえ、成功率は今シーズン約55%ですが、ドラモンドのフリースロー成功率は約36%。正直、かなり問題アリです(笑)。もし、ドラモンドがフリースローで7割ぐらいの成功率を残せれば、ドリームチーム入りは間違いと思いますよ。

 ただ、それでもピストンズは、スティール狙いの大胆プレイを注意するのではなく、若いドラモンドを自由にプレイさせているのです。フリースローはヘタでも、毎試合15リバウンドぐらい記録し、スティールも狙えるドラモンドの並外れた身体能力を買っているのでしょう。ドラモンドの潜在能力を信じて使い続けるピストンズの姿勢も、非常に好きですね。

 ルーキーの使い方はヘッドコーチによってそれぞれあると思うのですが、僕が思うに、将来のチームの中心選手に育てたいルーキーは、サブ的な扱いからスタートさせると絶対にうまくなりません。ルーキーが足らないものは「経験」なので、試合で多くの失敗をしないといけませんし、逆に多くの成功体験も得ないと成長しないと思うからです。厳しい環境の中で、ルーキー時代からチャレンジする気持ちを持ち続けてこそ、バスケットはうまくなっていくのです。

 そうして若い時期から多くの経験を積んだ選手は、必ずリーダーシップを発揮するようになります。チームをまとめるためにどうすればいいのか、コートの中で日々考える時間が、その選手の人間力を高めていくのです。逆に言うならば、それまでチームを引っ張ってなかった選手に対して、ベテランだからリーダーシップを発揮しろと言っても、これは難しい。そんな選手がいくら口酸っぱくチームメイトに指示しても、周囲は彼の言うことを聞かないでしょう。それほど、スポーツの世界はすごくシビアなんです。だからこそ、将来リーダーになれそうか否か、ルーキーの素質を見極めるのは、ヘッドコーチにとって非常に重要な仕事だと思います。

 コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)がいい例です。高卒でNBA入りしたコービーは、入団当初、ずっとワガママなプレイばかりやっていて、周囲からは「使うな」という声も多かった。しかし、それでも当時のヘッドコーチはコービーを使い続けました。その結果、シャック(シャキール・オニール/1992年から2011まで活躍したNBAを代表する名センター)がチームを去った2004年以降、それまで得点を奪うことばかり執着していたコービーが、コート内でリーダーシップを発揮するようになったのです。バスケット感がガラッと変わった瞬間です。そのときを境に、コービーの言動には責任感が生まれ、チームの勝利のためにプレイするようになりました。