JBAの育成とスラムダンク奨学金が見据える「日本バスケの未来」 (4ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro

 もちろん、どれだけ強い向上心があっても、誰もが自費で海外留学できるわけではない。だが2006年に『スラムダンク』の作者・井上雄彦氏が設立し、現在まで6名のプレイヤーを奨学生としてアメリカに送り込んでいる『スラムダンク奨学金』という道もある。井上氏は言う。

「バスケットとの出会いがあったからこそ、『スラムダンク』という漫画を描くことができ、漫画家になることができました。バスケが僕の人生を変えたと思ってます。日本バスケへの恩返しのつもりで、『スラムダンク奨学金』を設立しました。留学先のサウスケントスクールは、アイザイア・トーマス(現サクラメント・キングス)、ドレル・ライト(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)、アンドレイ・ブラッチ(現ブルックリン・ネッツ)など、のちのNBA選手を多数輩出している強豪校です。奨学生には、日本では経験できない環境に身を置くことで、さらに成長してほしい。アメリカの同年代のトップレベルの選手と日々プレイして肌で感じることが、NBAがどのくらいの位置にあるのかを正しく想像し、我が日本バスケがどの位置にあるのかを正しく認識することにもつながると思います。その貴重な経験を、ゆくゆくは日本バスケを強くするために役立ててもらえたら最高です。2020年東京五輪にはぜひとも出場してほしいし、勝ってほしい。あとに続く世代に闘う姿を見せてほしいと願ってます」

 日本バスケの未来のために、育成環境をより充実させるのは大人に課せられた急務だ。しかし、「もっとうまくなりたい」と思っている中学生や高校生のプレイヤーが、もしもこの記事を読んでいるのなら伝えたい。その道は、細く険しいものかもしれない。それでも、冒頭の安西先生の言葉は、君を裏切らない。そして、レイブルコーチの言葉を借りれば、「どんな時でも、あきらめるには早すぎる」。

 高校、大学、プロ、そして7年後の……。どんなユニホームを着て、どんなコートでプレイしているのか、それを決めるのは、今の君だ。


高校では終われない、君へ――。
第8回「スラムダンク奨学金」奨学生募集開始!
詳しくはコチラ→【スラムダンク奨学金・公式サイト】

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る