【NBA】マイアミ・ヒート、スリーピートの可能性

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi 是枝右恭●写真 photo by Koreeda Ukyo, AFLO

 2013-14シーズンが10月29日、ついに開幕した。昨年の王者マイアミ・ヒートは、本拠地アメリカン・エアラインズ・アリーナに迎え入れたシカゴ・ブルズを107対95で下して白星発進。スリーピート(3連覇)に向けて最高のスタートを切った。だが、計82試合のレギュラーシーズン、そしてポストシーズンと、来年6月に行なわれるファイナルまでの道のりは長い。果たしてヒートは、2000年~2002年のロサンゼルス・レイカーズ以来、12年ぶりの快挙を成し遂げることができるのか。「ミスター・バスケットボール」佐古賢一氏に、今シーズンのヒートについて語ってもらった。

レブロン・ジェームズはヒートを3連覇に導くことができるのか?レブロン・ジェームズはヒートを3連覇に導くことができるのか? 開幕戦はヒートがブルズを下しましたが、イースタン・カンファレンスをリードするのは、やはりこの2チームだと思います。予想よりも接戦にならなかったのは、PGデリック・ローズがまだ本調子ではないからでしょう。2012年のプレイオフ1回戦で負った左ひざ前十字じん帯断裂の影響で、ローズのひざがどこまで回復しているのか、非常に気になっていました。ただ、ゲームを見る限り、ローズの身体的なコンディション自体はまったく問題ありません。ローズの持ち味である、「スピードを上げてからのストップ」、つまりリーグ屈指のスピードコントロールは完全に戻っているでしょう。体力測定のデータでも、ケガする前以上の筋力が備わっていると言われています。

※ポジションの略称(C=センター、PF=パワーフォワード、SF=スモールフォワード、SG=シューティングガード、PG=ポイントガード)

 しかし、それはあくまでも身体的な部分の話なので、だからと言ってローズがチームにフィットしているというわけではありません。やはり、18ヵ月もゲームから離れていたので、試合感覚はそう簡単には取り戻せないでしょう。チームメイトとの連携も、まだしっくりいっていないように見受けられました。ブルズとローズはこれから徐々に、そのあたりを調整していくのではないでしょうか。

 では、本題である、「今シーズンのヒートの出来」についてですが、正直、ここまでの仕上がり具合は想像以上でした。まず、注目したのは、2年連続シーズン&ファイナルMVPに輝いているエース、レブロン・ジェームズの安定ぶりです。今シーズンのレブロンの動きを見ていると、まったく無理をしないでシュートを打っているように感じました。第4クォーターの大事な場面では、エースとして果敢にシュートを狙うものの、それ以外ではチームメイトを生かす「つなぎ」に集中しているのです。レブロンがパスワークの中継となることで、SGレイ・アレンやSFシェーン・バティエといった、昨年のプレイオフから絶好調のロングシューターが輝きを放つ場面が多々ありました。こういう冷静な戦い方をされると、相手チームにとっては非常に脅威ですね。今シーズンのレブロンは、昨年以上にすごくゲームの流れを考えながらプレイしていると思います。

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