2013.10.30

【NBA】デニス・ロッドマン「俺たちのブルズと今のヒート? 話にならないぜ」

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro TOBI●撮影 photo by TOBI

バスケへの強い愛情を語るロッドマン。見た目とは対照的にバスケへの想いは真面目だ――1980年代や1990年代のNBAと、現在のNBAの一番の違いはどこだと思いますか?

ロッドマン 一番の違いは、フィジカルだ。あのころは、バスケットの本質がより問われていた時代だった。相手との身体のぶつかり合いの中で、俺の闘争心も強くなっていった。押す、ぶつかる……、その痛みと苦痛が、俺の仕事だと強く思えた。

――あなたの奇抜な髪型や言動は、常に注目を浴びました。しかし、一度コートに立てば、リバウンド、ディフェンスというダーティーワークをいとわなかったのはなぜですか?

ロッドマン ダーティーワーク? 仕事に奇麗も、汚いもない。あるのは、与えられた仕事をやるか、やらないかだけだ。俺はスラムで生まれ、ガキのころから働いてきた。修理工場でオイルにまみれ、エンジンを直した。農場で3年間、働いたこともある。どんなに寒くても朝5時半には起床し、牛にエサをやった。エンジンが動くようになること、牛がちゃんと育つこと――そこに達成感を感じたし、誇りだった。ヘッドコーチに、「リバウンドを取ってこい!」と言われたから、相手が大きかろうが、強かろうが、己の仕事をこなしただけだ。

――なるほど。

ロッドマン 与えられた仕事を懸命にやる。そして報酬を手にする。しかも、棚ぼたでもらった仕事ではない。自力で掴んだ仕事だ。命がけでやらずしてどうする? レブロン、(デリック・)ローズ、(ケビン・)デュラント、今のNBAにも才能あふれる素晴らしい選手はいる。だが、多くの若い選手は勘違いしているんじゃないか? 才能はあっても、富や名声に心を奪われがちだ。大型契約を結んだ直後、活躍できなくなる選手が多いのが、残念でならない。ファンは、ちゃんと仕事をするアスリートが好きだろう? 選手は富や名声のためじゃなく、やるべき仕事をするべきだ。

――つまり、やるべき仕事をする選手が集まったから、あのころのブルズは強かったということですか?

ロッドマン まさに、そうだ。マイケルやピッペンだけじゃない。スティーブ(・カー)、ルーク(・ロングリー)、誰もがあのチームでプレイするのが好きだった。彼らや俺は、たいしたキャリアもなければ、大学時代、スター選手でもなかった。だが、自分を信じ、役割を見つけ、それを徹底した。そして生まれたのが、あのチームだ。もはや何物にも代えがたい。

――では現在、あなたのDNAを受け継いでいる選手はいると思いますか? 例えば、クリス・アンダーセン(マイアミ・ヒート)はどうでしょう?

ロッドマン 誰だ、それ? ああ、「バードマン(アンダーセンの愛称)」か。あいつは、なかなかやるな。ここにきて、やっと自分とフィットするチームに巡り会えたということだろう。

――あなたの後継者になり得る選手は?

ロッドマン もうワンランク、ツーランク、レベルアップが必要だが、ケネス・フェリード(デンバー・ナゲッツ)には注目している。今後、大型契約を勝ち取った後にどんなプレイするか、そこまで見届けなくてはいけないけどな。