【NBA】ヒート連覇達成!レブロン・ジェームズがジョーダンを超えた日 (2ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 いずれの試合も、レブロンの爆発なくして勝利はなかったと言えるだろう。とりわけ第7戦は、3ポイントショットを10本中5本沈め、スパーズの勢いを完全に封じた。本来はスピードと身体の強さを生かしたペネトレイトを得意とするスラッシャー(※)だが、それに加えて外からのジャンプショットが入り出すと、もう誰も止められない。第4クォーター残り28秒、レブロンはこの試合37点目となるジャンプショットをヒット。最後もやはり、レブロンがファイナルの行方を決定づけた。

※スラッシャー=ドライブを多用して得点を重ねるプレイヤーのこと。

 ただ、今年のファイナルをスパーズが制していても、決して不思議ではなかった。トニー・パーカーとティム・ダンカンの2大得点源を軸に、思わぬ伏兵が大爆発。ダニー・グリーンが3ポイントシュート成功数でファイナル新記録を作るなど(27本/過去最高は22本=2008年ボストン・セルティックスのレイ・アレン)、チャンピオンとなるに相応しいチームワークを発揮していた。

 しかし、最後の最後で勝敗を分けたのは、レブロン・ジェームズというNBA最高のスーパースターによる「個」の力だった。ファイナルでのスパーズは、レブロンをできるだけゴールから遠ざけるべく、コンパクトな守備で抑えようとした。だが、綿密に練られたチーム戦術も、レブロンひとりに打ち破られてしまったのである。

 ファイナル終了後、自身5個目のチャンピオンリングを逃したティム・ダンカンは、「(第7戦の)試合中、我々はレブロンをエリア内に入れさせないようにディフェンスし、それは機能していた。しかし、外からのショットをことごとく決められてしまったんだ」とコメント。一方、スパーズのグレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)は、「レブロンの運動能力を抑えるのは、難しかった」と、優勝を逃した喪失感の中、そう述べた。

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