【NBA】スペイン人のマーク・ガソルが米南部メンフィスで愛される理由 (3ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 しかし高校卒業後、いったんスペインに戻ったマークは、5年後にグリズリーズの一員としてメンフィスに戻ってきた。兄・パウがロサンゼルス・レイカーズにトレードされ、その交換要員のひとりとしてレイカーズが2巡目で指名していた弟・マークとの交渉権を、グリズリーズが獲得したからだ。マークは高校時代よりも身長が8センチ伸び、一方体重は20キロ以上落とし、選手としてたくましく成長していた。また、インサイドで身体を張ったフィジカルなスタイルは、「労働者の町」と自負するメンフィスの人たちの好みとも一致した。

 マークがグリズリーズに入り、今季で5シーズン目。昨年2月には初めてオールスターに選ばれ、今年はヨーロッパ出身選手として初めて最優秀ディフェンス選手に選ばれた。マークの成長と比例するように、グリズリーズの成績も右肩上がり。メンフィスの人たちは、マークを自分たちの子どものように応援し、マークもメンフィスの町を「第二の故郷」と、愛着を持つようになった。

 昨年12月、メンフィスのコマーシャル・アピール紙による『スポーツ・パーソン・オブ・ザ・イヤー』に選ばれたマークは、受賞の喜びを次のように語っている。

「町の魂を感じるようになってきた。これは、週末だけメンフィスに訪れても理解できない。時間をかけて作り上げるものなのだと思う。どれだけ多くの人が応援してくれているかを考えるだけで、多くのエネルギーを感じるんだ」

 現在行なわれているカンファレンス・ファイナルでは、第2シードのサンアントニオ・スパーズ相手に0勝2敗。アウェーの地に苦しみ、2連敗を喫した。しかし、第3戦(現地5月25日)からの舞台は地元メンフィス。地元の声援を受けたマーク・ガソルがどのように巻き返すのか、「町の魂」に期待したい。

※現地5月23日現在

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