【NBA】プレイオフ開幕。合言葉は「ストップ・ザ・ヒート!」 (2ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

※チーム順位は各カンファンスでの順位※チーム順位は各カンファンスでの順位 というのも今シーズン、ニックスはヒートとの対戦で3勝1敗と勝ち越しており、さらにシーズン終盤の4月には11連勝を記録。いい流れでポストシーズンに突入している。また、プレイオフ直前に故障欠場していたタイソン・チャンドラーや、マーカス・キャンビー、ケニオン・マーティンといったインサイドプレイヤーが復帰。ディフェンスが向上したことで、ヒート攻撃陣を苦しめるかもしれない。

 そして何よりニックスの強みは、チームの大黒柱であるカーメロ・アンソニーが本来の得点能力を高いレベルで維持している点だ。今シーズンは平均28.7得点を記録し、3シーズン連続で得点王に輝いていたケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー)を抑えて初のタイトルを奪取。脂の乗り切ったプレイで、打倒ヒートの急先鋒として立つ。

 また、ニックスと並んでヒートを苦しめそうなのが、第3シードのペイサーズだ。ニックスとは対照的に、フィジカルが強くインサイドでのプレイを得意するペイサーズは、レギュラーシーズンの成績を見ても、ヒートとの相性は良い(対戦成績は2勝1敗)。アメリカの現地メディアは、「ヒートが苦戦するのは、このスタイルのチームだ」と言及している。ペイサーズの武器は、リバウンドとディフェンス。レギュラーシーズンで2勝した試合では、ヒートを77点(今シーズン最少得点)と89点という低得点に抑えている。

 その77点に抑えた1月8日の試合でペイサーズは、55本ものリバウンドで試合を掌握(ヒート=36本)。リバウンドを制したことで、ヒートの攻撃回数をわずか68回に抑え(ペイサーズ=91回)、得点チャンスを減らすことに成功した。今シーズンのヒートは、リバウンド数で圧倒されると苦戦する傾向があり、ペイサーズのスタイルは「ストップ・ザ・ヒート」の戦術に適していると言えるだろう。今年初めてオールスターゲームに選ばれたポール・ジョージを軸に、対戦すれば激しい肉弾戦となりそうだ。

 しかし、真のビッグマン不在のヒートも、リーグ最低のリバウンド数が示すとおり、ゴール下の弱さは十分理解しているはず。むしろそこに頼らず、相手のいかなる戦術にも対応できるだけの経験と、飛び抜けたタレント力でリーグを制圧してきた。ヒートの『ビッグ3』のひとり、パワーフォワード兼センターのクリス・ボッシュは、こう語る。

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