【NBA】オールスターで喝采を受けた「究極のダークホース」

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

現在イースタン・カンファレンス3位。好調ペイサーズを引っ張るのがNBA3年目のポール・ジョージだ現在イースタン・カンファレンス3位。好調ペイサーズを引っ張るのがNBA3年目のポール・ジョージだ インディアナ・ペイサーズに所属するポール・ジョージ(SF/SG)は、『究極のダークホース』だ。小さな町で育った子どものころは、いつも5歳上の姉との1対1の競争に負けて泣いていた。大学に進むときは、強豪から声を掛けられながらも、自分が活躍できそうなレベルのフレズノ州立大学を選んだ。そして大学でも頭角を現すが、レベルの低いリーグという理由で、全米トッププレイヤーとしての評価は下されなかった。

(※)SF=スモールフォワード、SG=シューティングガード

 そんな経歴を持つジョージが、2010年のNBAドラフトでペイサーズから10位で指名されたとき、果たして誰が、「3シーズンでオールスターに出るような選手になる」と予想しただろうか――。

 ところが、ジョージ本人は「予想していた」というのだ。ペイサーズに入団し、プレシーズンを経験すると、まだ公式戦を戦う前だというのに、「NBAは簡単そうだ」と語り、チームメイトに「3年以内にオールスター選手になる」と断言した。周囲は、「ジョージが冗談を言っている」と思って笑うも、本人はいたって本気だった。

「冗談ではなく、本気でそう思っていたんだ」と、ジョージは当時を振り返る。もし、それが実現しなければ、単なる「自信過剰な大口野郎」と罵(ののし)られただろう。しかし事実、3シーズン目の今季、イースタン・カンファレンスの代表に選ばれてオールスターに出場したのだから、見事な有言実行だ。しかも、同じ2010年にドラフト指名された選手の中で、ジョージは「オールスター出場・一番乗り」を果たしている。

 その成功の裏に、才能や努力があったことはもちろん、運やタイミングも味方していた。まずはNBA2シーズン目の昨季、コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)を良く知るブライアン・ショーが、ペイサーズのアシスタントコーチになった。コービーといえば、ジョージが子どものころから憧れていた選手だ。長年、選手やコーチとしてレイカーズに在籍していたショーは、コービーがどれだけ努力し、どんなメンタリティでプレイしているのかをジョージに教えた。

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