【NBA】スパーズがなぜ勝ち続けるのかが分かった、ある出来事 (3ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 例えば今回、休養を与えられた30代の主力3人に交じって、25才とまだ若いグリーンがいた。グリーン自身、ポポビッチから他の3人とともにサンアントニオに帰るように言われて驚いたという。

「驚いた。でも、ポップのほうから僕のところにきて、『出場時間が多かった分、疲れているように見える』と言われたんだ」と、グリーンは言う。実際、グリーン自身、遠征試合が続き、疲れが溜まってきたと感じていたところだったという。

 そういった細かな気遣いがあるからこそ、選手たちは厳しいことを言われても納得し、努力できる。その気配りは、ヘッドコーチと選手という枠だけにとどまらない。頻繁に家族の様子を聞き、必要とあればチームを離れた後でもサポートするなど、人間としてのつながりも大切にする。そんな人間的な側面があるからこそ、選手たちはポポビッチを慕い、彼の判断に従うのだ。ダンカンも以前、こう言っていた。

「ポップ(ポポビッチ)は僕らに十分な休養を与えてくれている。多くの選手を起用することで、みんなが元気でいられるようにしている。そうすることで、僕らにできるだけ『言い訳』をさせないようにしているんだ」

 今回の判断が正しかったかどうかは別として、少なくとも、ポポビッチがいかに選手たちの心をつかんでいるか、なぜスパーズが長い間強豪でいられるのか、その理由が見えた出来事だった。


3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る