【NBA】なぜ弱小クリッパーズが強豪チームに変貌できたのか? (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 フロントに選手を推薦することもあった。アトランタ・ホークスがウィリー・グリーンをトレードしようとしていることをグリーン本人から聞くと、フロントに獲得を提案。その結果、グリーンもクリッパーズの一員となった。

「クリス(・ポール)のような、NBAの中で最もバスケIQの高い選手がチームにいたら、彼の意見を聞かないのは職務怠慢と言ってもいいと思う。クリスが誰か選手を勧めてきたら、その話を聞かないのは愚かなことだ」と、クリッパーズのゲイリー・サックスGMは言う。「彼のような選手がチームの方向性を信じ、自ら動いてくれるのは、チームにとってプラスでしかない」。

 一度でも話せばわかるが、ポールには多くの人を動かし、彼らを信じさせる才能がある。実はポール自身、来年夏にフリーエージェントになる。チームを信じていなかったら、勧誘よりも自分の次のチームを探し始めるころだ。だからこそ、よけいに彼の勧誘が説得力を持つのだった。

 もっとも、ポール自身は自分ひとりでチームを変えたとは決して認めない。名ポイントガードらしく、「僕がやったのではなく、みんなでやったことだ」と主張する。

「大事なのは勝利のカルチャー、勝利のメンタリティを作り出すことだ。僕は、他のみんなと一緒にそれをやろうとしているんだ」

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