【NBA】ウェスト首位を激走するサンダー、強さの秘密とは? (2ページ目)

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi
  • photo by Getty Images,TOBI(sako)

「フィッシャーは優勝するためのラストピース」と語る佐古氏「フィッシャーは優勝するためのラストピース」と語る佐古氏 一方、2年連続得点王のデュラントは、今年も変わらず自分のリズムで淡々とプレイしていますね。彼の良いところは、精神的なバラツキがないところです。トラッシュトークを仕掛けても、あんまり跳ね返りがなさそうですよね。あのような性格だから、感情的なウェストブルックとぶつかることもないのでしょう。本当にいいコンビです。コービーとウェストブルックがコンビだったら、間違いなく衝突しっぱなしでしょうから(笑)。今年、サンダーが優勝すれば、デュラントがMVPに輝くと思うんです。いまや『ケビン・デュラント』という存在は、NBAで確固たる地位を築きつつあります。

 また、サンダーの快進撃を支えているのは、デュラントとウェストブルックだけではありません。まずは昨年、シックスマンだったジェームス・ハーデンが、予想以上にいいんです。オフェンスでもディフェンスでも、常に安定しています。昨年優勝したマブス(ダラス・マーベリックス)にも優秀なシックスマンがいました。やはりシックスマンの優劣が、勝てるチームかどうかの重要なポイントなんだと思います。

 そして、レイカーズの黄金期を支えたデレック・フィッシャーがサンダーに加入したことも、非常に大きいですね。昨年プレイオフで負けたのも、若さゆえのメンタル部分の脆(もろ)さが原因だったと思います。よって、それを支えるベテランがいるのは、とっても心強いことです。レイカーズ戦でも、チームメイトに声をかけるタイミングがすばらしかった。デュラント、ウェストブルック、ハーデンら勢いのある選手をサポートし、近くで意見を言ってくれるベテランは、チームの大きな財産。プレイオフに向けて、フィッシャーはサンダーにとって欠かせない選手ですね。

 今年優勝するためには、いずれプレイオフでレイカーズを倒さないといけないでしょう。しかし今年のサンダーなら、逆に「レイカーズと当たりたい」と思っているのではないでしょうか。今年はすでに2試合戦っていますが、ともに第1クォーターでリードされたものの、後半、怒涛のゴールラッシュで逆転勝利を収めているんです。逆にレイカーズにとっては、一番嫌な試合展開ですよ。まさに完敗です。こういう試合を終えると、選手は「力負けした」って感じるんですよね。サンダーへの苦手意識も芽生えているかもしれません。

 レイカーズ相手でも負ける気がしないという雰囲気が、今年のサンダーからは感じられます。勢いのある若さに、メンタルの余裕も生まれたサンダーがどこまで上り詰めるのか、非常に楽しみです。

取材協力:WOWOW
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プロフィール

  • 佐古賢一

    佐古賢一 (さこ・けんいち)

    1970年7月17日生まれ、神奈川県出身。179cm/ポイントガード。北陸高→中央大→いすゞ自動車→アイシン精機。日本を代表する司令塔として活躍し、『ミスターバスケットボール』と呼ばれる。的確な判断力と要所の得点力で、JBLリーグ優勝9回、全日本選手権優勝12回を果たす。2011年に現役引退。
    WOWOW(http://www.wowow.co.jp/sports/nba/)でNBA解説など活躍の場を広げている。現在はJBA理事ナショナル男子を担当。近況はコチラ

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