【F1】湊谷圭祐HRCチーフエンジニアが感じたトップドライバーの共通点 「アロンソはとにかく頭がいい」 (2ページ目)
【全開率の上がり方がきれい】
── それは、僕もウイリアムズ時代に彼を見ていて感じました。ドライバーとしてだけでなく、お父さん譲りなのか、ビジネス的な視点でも物事を見ている印象があります。
僕はエンジニアではないので技術的な議論を聞く立場ではありませんでしたが、シートやヒールレストを何度も作り直したり、複数の仕様を用意して決勝直前まで調整したりしていました。自分にできることはすべてやる、という姿勢が強いドライバーだと感じましたね。逆に、アロンソの優れている点はどこだと感じますか?
「とにかく頭がいいですね。特にエネルギーの使い方が非常に賢いと感じます。
今年は決勝中にブルーフラッグを受ける場面が多いのですが、単純にストレートエンドでリフトオフ(アクセルペダルから完全に足を離す行為)して譲ると、エネルギー面で損をしてしまいます。そこでフェルナンドは、エネルギーをセーブするボタンを使いながらスロットルは全開のまま走り、タイムロスを最小限に抑えます。
さらに、オーバーテイクモードのディテクションポイント(検知地点)を過ぎたところで抜かせるように調整し、自分はオーバーテイクモードの権利を確保する。そうすることで、抜かれた後の1周を速く走れるんです。こうしたことを、こちらから細かく指示しなくても、自分で考えて実行しています」
── それもドライビング中に余裕があるからこそできることなんでしょうね。
「それと、速いドライバーに共通しているのは、フリー走行や予選での全開率の上がり方がとてもきれいなことです。レーシングラインやスロットルの踏み方が正確だからこそ、段階的にパフォーマンスを引き上げていける。トップドライバーは、その精度が明らかに違うと思います。
マックスがまさにそうでしたし、フェルナンドも同じ傾向があります。今年は予選で十分に走れていないので、その先まではまだ見えていませんが、フリー走行の段階から非常にきれいに積み上げていきます。
アタックラップごとに薄皮を一枚ずつ削っていくような再現性がありますし、自分がどれだけマージンを持っていて、それをどこまで削れるのかを正確に把握しているのでしょう。そうした傾向は、これまで見てきたトップドライバーたちに共通していましたね」
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