ホンダの若手育成は「形になってきた」 佐藤琢磨がドライバーに求めるのは「託したい」と思わせる人間力 (3ページ目)
【キミ・アントネッリが飛躍できた理由】
熱田 ドライバーは上のカテゴリーに行けば行くほど、飛び抜ける人と、そうでもない人が出てきます。それは運や求心力など、いろんな要素が関与していると思いますし、つねにチームメイトと比較されて勝っていかなければならないこともあります。琢磨さんも数々の修羅場をくぐりぬけ、今の立場があるわけですよね。生き残っていくために必要なものとは何ですか?
佐藤 まず大前提として、当然、速くなければなりません。レーシングドライバーとして、スピードへのセンス、マシンを操る能力、それからレースクラフト(組み立て)の巧さ。この3つは持っている必要があります。
ただ、トップカテゴリーに近づけば近づくほど、それだけでは差がつかなくなってきます。F3のレベルまで来ると、ほとんどのドライバーが十分な速さを持っています。現実的にF1への登竜門となる重要な選手権ですし、ここに参戦しているドライバーの多くは、それぞれのジュニアカテゴリーでチャンピオンを経験してきています。もっと言えば、欧州のカート選手権や世界選手権を勝ち上がってきた選手ばかりです。
でも、ここから先はより厳しくなります。F2、そしてF1にステップアップできるドライバーと、そうでないドライバーに分かれていってしまう。もちろん、運やタイミングという要素もあります。しかし、それらのチャンスを自分のものにするための準備をしているか、そして周囲から「このドライバーに託したい」と思ってもらえる存在になれるかどうかも、ドライバー自身の力だと思っています。
たとえば、今年のキミ・アントネッリ(メルセデス)を見ても、デビュー2年目でここまでの成績を残すとは、多くの人が想像してなかったと思います。彼が今、あれほどのパフォーマンスを発揮しているのは、もちろん本人のたゆまぬ努力と成長力が大きいのですが、それだけではありません。自分自身の力を最大限に発揮できる環境を作り出す、人間的な魅力や求心力も大きな要素だと思います。
3 / 4


