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【F1】アストンマーティン・ホンダ「異常振動問題」対策の舞台裏とは? チーフエンジニア折原伸太郎に熱田護が迫る (2ページ目)

  • 熱田 護●取材・撮影 interview&photo by Mamoru Atsuta
  • 川原田 剛●構成 text by Tsuyoshi Kawarada

【V8エンジン回帰論をどう考える?】

熱田 話は変わりますが、すでに次のPUのレギュレーションに関して議論が始まっています。国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ビン・スライエム会長は遅くとも2031年には持続可能燃料を用いた自然吸気のV8エンジンに回帰したいと語っています。

 僕も個人的にはバッテリーのないほうが好きなんです。軽くて安くていい音がするV8のほうが、お客さんの多くがワクワクしてくれると思っていますが、折原さん個人としてはどう考えていますか?

折原 ひとりのF1ファンとしては大賛成です。バッテリーはあってもなくてもいいのですが、大音量を発するV8エンジンは好きです。ただ一方で、すごく個人的な意見ですけど、最近のF1はサーキットで観戦する環境としては快適だと私の家族は話しています。

 音がうるさくないので、横にいる友人や家族と会話しながらレースを見ることができますし、場内放送がちゃんと聞こえる、と。そういう環境がいいという人も増えていると感じます。とくに最近F1に興味を持ち始めたライトなファンの方には、大音量のV8エンジンを好まない人たちもいるのかなとも思っています。

熱田 なるほど。でもあの身体が震えるような音をぜひ聞いてほしいと思いますが、エンジニアとしては自然吸気のV8エンジンはやりがいはありますか?

折原 エンジニア目線で言うと、チャレンジングさという点ではこれまでよりも劣りますね。技術的には難しかったですが、やりがいがあったのは昨年までのレギュレーションです。1.6リッターのV6ターボエンジンと、MGU-H(熱エネルギー回生システム)とMGU-K(運動エネルギー回生システム)のふたつのエネルギー回生システム、このすべてを協調させてパフォーマンスを引き出すことは、エンジニアにとってはやりがいがありました。

熱田 今年はふたつのエネルギー回生システムのうち、MGU-Hが廃止されてしまったので、ちょっと醍醐味が減ってしまったという印象ですか?

折原 エンジニア目線だと、そのとおりですね。やっぱりMGU-Hとエンジンの組み合わせはすごくチャレンジングだったんですよね。エンジンの出力だけ上げると、Hの回生量が落ちてしまうんです。そこをうまくバランスさせる技術を開発するのは、エンジニアとしてはチャレンジングで、面白かったです。

終わり

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<プロフィール>
折原伸太郎 おりはら・しんたろう/1977年、東京都生まれ。ホンダF1第2期活動(1983〜1992年)でのマクラーレン・ホンダの活躍を目の当たりにしてF1の世界に憧れ、大阪市立大学工学部機械工学科で学び、2003年にホンダ入社。市販車用エンジンの開発に携わったあと、ホンダ第4期F1プロジェクトに参画。イギリスの前線基地の立ち上げ、国内でのPU開発を担当。2023年からPUのチーフエンジニアを経て、2025年からトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める。

著者プロフィール

  • 川原田剛

    川原田剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

  • 熱田護

    熱田護 (あつた・まもる)

    フォトグラファー。1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。取材500戦を超える日本を代表するF1カメラマンのひとり。

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