初王者ノリスは「今のF1が望むキャラクター」 天才フェルスタッペンとの激闘を中野信治が振り返る (2ページ目)
【かつてセナやシューマッハがやったこと】
ドライバーとしての能力だけで言えば、ノリスはフェルスタッペンにかなり近いところにいます。僕は5〜6年前から言っていますが、ドライビングのデータを見ると、ノリスのスピードセンスはフェルスタッペンに匹敵するレベルにありました。
実際、マクラーレンのマシンの競争力が上がってくると、ノリスも速くなり、安定して結果を残すようになってきました。ただ彼がフェルスタッペンと同じ戦い方ができるかというと、それは難しい。おそらくマクラーレンのマシンの競争力が落ちたら、2025年シーズン後半戦のフェルスタッペンのような結果を出せないと思います。
ノリスは自分が乗るマシンが遅かったら、無理にこじ開けてでも前に行こうとはしないでしょう。強引なブロックをして、ライバルを絶対に自分の前に行かせないというドライビングもしないと思います。そこがフェルスタッペンとノリスの決定的な差になっています。
これはうまいとか下手とかとは別の次元の話です。まあ、広い意味ではうまさもあるんですけど......。ただ単にぶつかるのではなくて、ルール違反になるかならないか、ぎりぎりのところでうまくぶつかるとか(笑)。
グレーゾーンの使い方が絶妙ですし、それを平然とやってのけるメンタルの強さもフェルスタッペンはすごい。当たり前の基準が他のドライバーとはまったく違う。そういう独自の基準を作ったのが彼のすごさであり、強さの源泉になっています。
2025年のF1を振り返った解説者の中野信治氏 photo by Tanaka Wataruこの記事に関連する写真を見る
さらに言えば、フェルスタッペンが自分のスタイルをトレンドにしてしまい、周りがマネをしなければならない状況を生み出しているのも強さに拍車をかけています。それはかつてアイルトン・セナやミハエル・シューマッハがやったこと。歴史は繰り返し、それを今、フェルスタッペンがやっているということです。王道というか覇道ですね。
マシンの走らせ方がまさにそうです。レッドブルのマシンはピーキーな挙動ですが、フロントが入りやすく、すごく曲がっていくオーバーステア傾向になっています。そういう特性のマシンがフェルスタッペンの好みで、レッドブルはフェルスタッペンのドライビングスタイルに合わせたマシン作りをしています。
そのトレンドが他のチームにも波及しています。だからチームメイトだけではなく、他チームのドライバーもフェルスタッペンの走りをマネせざるを得ない状況があったと思います。
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