元レーサーでパイロットの中嶋大祐は機長を目指して奮闘中「レースとは求められるものがまったく違いました」 (2ページ目)
【レーサーとパイロットの共通点はある?】
ーーレースを引退された時はすでにご結婚されていたと思いますが、その時の奥さまの反応はどうだったのですか?
最初にレースをやめるといった瞬間だけ、妻は「後悔しない?」と心配はしてくれました。でも、そのあとはありがたいことにすごく応援してくれました。ちょうど私がパイロットになるための資格を取ったり、就職活動をしたりしている時期は子どもがまだ小さかったので、妻は育休中だったんです。だからわりと一緒に行動する機会も多かったこともあって、いろいろな面でサポートしてくれました。
ーーPeachに採用されたあとは、すぐにパイロットとして仕事を始めたのですか?
いえ、私の場合、地上配置という期間が10カ月間くらいあり、チェックインのお手伝いやゲートでの搭乗案内などを行ないました。その後、座学でパイロットしての知識を身につけたり、シミュレーターの訓練を行なったりして、最後には実際の路線に出て実機でフライトしました。
そういうパイロットになるためのもろもろの訓練期間が合計で1年とちょっとあり、正式に副操縦士になったのが2023年9月です。なので、副操縦士になってからは丸2年経ったところです。
ーーちなみにパイロットとしての"デビュー戦"は?
関西空港から新千歳空港行きの便です。フライトは問題なくできましたが、やっぱり最初はバタバタして、いっぱいいっぱいでした(笑)。
ーーレーサーの時はマシンの性能を引き出して速く走ることや優勝することが目標であり、それを達成できたら喜びを感じたと思います。パイロットとして一番やりがいを感じる瞬間は?
パイロットはお客さまを安全に目的地までお乗せすることが最優先されます。安全性というのがまず絶対。それと3つ大事にしていることがあります。燃料などの効率性、定刻に出発・目的地に到着する定時性、あとは機内の快適性です。
安全を絶対的に守ったうえで、いかにその便に合わせて残りの3つを両立させることができるのか。そこがゴールですし、達成できた時はやりがいを感じます。今は機長と一緒に、もしくは機長に手助けしていただきながら、自分なりに経験を積み重ねていっているところです。
ーーレーシングドライバーの技術や経験は、パイロットとして飛行機を操縦する時に生きていますか? 何か共通点のようなものはありますか?
Peachの入社試験を受けた時のエントリーシートに「レースの経験が生かせるはずです」と書いたと思いますが、実際は求められるものがまったく違いましたね。たしかにドライバーもパイロットも機械を操る仕事というところは一緒ですが、パイロットの場合はあるべき姿を描いた時に操作の重要性はほんのわずかな部分しか占めません。
逆にレースの場合は操作がほぼすべてと言っていいですよね。たとえばブレーキングが上手下手でタイム差が生まれ、勝負が決します。飛行機の操縦では着陸に関しては多少の技術の差が出るかもしれませんが、極論すれば、安全に降りられればいいんです。
そこを突き詰めるよりは、安全性を守ったうえで、先ほど話した効率性、定時性、快適性をうまく見出していくほうが大事だと思います。むしろ、つい操縦に集中して視野が狭くなってしまうことは一番避けなければいけないことだと感じています。
レースとの共通点というか、これはスポーツ全般に言えることかもしれませんが、何か目標を掲げて、そこに向けて行動しますよね。その結果、うまくいったりいかなかったりしますが、その理由を考えて次に向けてまた計画を立てて、再度トライしてみる......というのをスポーツ選手はずっと繰り返していきます。
そのサイクルでレースは1年かけて戦っていきます。細かいことを言ったら、サーキットをドライブする時にも同じように周回ごと、コーナーごとに課題を見つけ、何が原因か考えて、トライしていました。そういうアプローチが身についているので、今の仕事やパイロットの訓練にすごく生きていると感じています。
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