【F1】角田裕毅、シート喪失危機にもあっけらかん「光る走りを見せて、あとは上層部が決めるだけ」 (3ページ目)
【バクーで求められる最低限の仕事】
その一方で、角田には速さだけでなく、ポイントにつなげるレース遂行能力やレース巧者ぶりも求められている。それだけに、前戦のような接触はいただけない。
「彼(リアム・ローソン/レーシングブルズ)とは話していませんけど、明日の朝にヘルムート(・マルコ)も交えて話をする予定です」
角田はそう語るにとどめたが、角田が悪かろうとローソンが悪かろうと、接触し入賞のチャンスを失ったという事実は変わらない。それはつまり、チーム全体がこのレースのために注いだ全ての努力とコストを水の泡にした、ということだ。
レッドブルというトップチームのステアリングを握り、1000人を超えるスタッフの努力の上にマシンを走らせるドライバーならば、その点はしっかりと認識しておかなければならない。
コンクリートウォールに囲まれた狭いコースを超高速で走るバクーでは、なおさらそれが重要になる。荒れたレースで生き残ることも、ドライバーに求められる最低限の仕事だ。
「バクーはいい思い出もありますし、サプライズも多くてチャレンジングなサーキットです。走っていて楽しいですね。とにかく集中力が求められますし、どこまでマシンと自分自身のすべてを引き出せるかがポイントになってくると思います。今週末に目指しているのはそこです」
シート喪失の危機に晒されて、精神的に追い詰められた過去のドライバーたちがまとっていたような悲壮感は、今の角田にはない。よくも悪くも、あっけらかんとしている。
今までプレッシャーがかかる重大な場面でも、しっかりと実力どおりの結果を示して道を切り拓いてきたのは、そんな性格ゆえだったのかもしれない。
自分が何をなすべきか、何をやってはいけないのか。それを理解しさえすれば、結果を出せるのが角田裕毅だ。
「1戦1戦が非常に重要だと思いますけど、結果を出し続けることや、光る走りを見せることに集中するしかないと思っているので。自分がコントロールできるのはそこだけですから、そこに集中するだけです。あとはそれを見て、彼らが決めるだけです」
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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