【F1】角田裕毅、シート喪失危機にもあっけらかん「光る走りを見せて、あとは上層部が決めるだけ」 (2ページ目)
【謎のタイヤ摩耗に試行錯誤】
レッドブルが抱える問題は、ロングランのペースだ。それも「速い」「遅い」の問題ではない。
レースを戦ううえで、必要な周回数だけタイヤを保たせようと思うと、攻めることができないことが問題だ。その原因となっているのが、異常なタイヤの摩耗である。
「今、集中しなければならないのは、ロングランだと思っています。もちろんモンツァはフロアにダメージを負っていたので別ですが、ふだんから決勝でもフリー走行でもロングランに苦しんでいて、それがなぜなのかチームとしても理解できていない、説明がつかないことが最大の問題です」
フェルスタッペンは予選でパフォーマンスの期待できる薄型リアフラップを採用してポールポジションを獲得し、決勝でも勝利をつかみ獲った。
しかし、角田は削る前のフラップのまま、予選・決勝に挑まざるを得なかった。「フリー走行でのロングランの悪さを考えれば、フラップを削る決断はできなかった」と角田が語っていた背景には、謎のタイヤ摩耗に試行錯誤し続けている苦悩があった。
「マシンバランスは悪くないと感じているのに、なぜかタイヤがクレイジーなくらい磨耗してしまうんです。モンツァではFP3までいろいろとトライをして何が原因で起きているのかを究明してみたんですけど、答えは見つかりませんでした。
結果として僕は、ロングランでタイヤを保たせるために(リアウイングが重い状態にせざるを得ず)あまり好みでないマシンバランスで予選・決勝に臨むことになり、マシンパフォーマンスもかなり失ってしまったんです」
とはいえ、イタリアGPの第1スティントは集団のなかで走り、DRS(※)圏内から外れてもガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)やフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とのギャップは広がらず、同じペースで走ることができていた。
※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。
さまざまな試行錯誤を重ねるなかで、少しずつ光明は見え始めている。
「毎レースのように新しい発見はあります。それを一つひとつ説明していたら時間がいくらあっても足りませんけど、そうやっていろんなことをトライして改善を進めていくこのプロセスを楽しんでいます」
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