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【F1】日本GPの歴代ベスト5を勝手にランキング 角田裕毅の成長を感じた「春の鈴鹿」は外せない (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ただし、こうした展開が生まれたのは、当時の予選が1アタック方式という特殊な形態を採っていたことも要因にある。予選の途中から雨が降り出したことで、セッション終盤にアタックをするはずだったランキング上位勢が実質的にアタックできず、下位グリッドに沈んだという事情があった。

 タイトルを争うミハエル・シューマッハ(フェラーリ)は14位、フェルナンド・アロンソ(ルノー)は16位、ライコネンは17位、マクラーレン僚友ファン・パブロ・モントーヤは18位だった。

 グリッド順が実力どおりでなかったこともあって、スタート直後の1コーナーや最終コーナーでクラッシュが相次いだ。その結果、シューマッハ、アロンソ、ライコネンはレース序盤で5位争いへ。我々の記憶のなかでは思い出が補正されてしまっているが、17位から1位へのジャンプアップの大半はあちこちで荒れた1周目になされたもので、決めたオーバーテイクの数は決して多くない。

 ライコネンのドライビングもすごかったが、ある意味で鈴鹿らしいとも言える予選の雨と、当時の予選方式が生んだドラマでもあった。予選がドライなら、普通にライコネンがポールトゥウインという退屈なレースになった可能性も充分にあった。それほど、マクラーレンのマシンは突出していた(後半戦は6連勝)。そういう意味で、ベストではなく5位とさせてもらった。

 それでも当時の映像を見れば、軽量コンパクトなマシンでレース中、再給油ありの軽い状態でスタートから最後まで走るキビキビとした動きは、今とはまったく違った魅力があった。今のF1しか知らない世代には、非常に新鮮に映るはずだ。

 そして、最後のV10サウンドが響いた鈴鹿のレースでもある。

【勝手にランキング4位:2024年】

 初めて春に開催された2024年の日本GPは、ベスト5のひとつにピックアップしておかないわけにはいかない。いろいろ懸念もされた春開催だったが、台風を気にすることなく桜の季節に観られるという意味で、F1ファンにとっては予想以上に歓迎されたのではないだろうか。

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